読書記録

読んだ本の感想まとめ。

ミステリー

セカンド・ラブ

セカンド・ラブ (文春文庫)作者:乾 くるみ文藝春秋Amazon『イニシエーション・ラブ』と同じく女が男を弄ぶ系の作品だと思いながら読み始めて、主人公の正体に驚かされた。やられた。 冒頭の結婚披露宴のシーンと矛盾するのでは? と思って読み直したけど、矛…

イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ (文春文庫)作者:乾 くるみ発売日: 2012/09/20メディア: Kindle版劇場版公開当時に映画館で観て、読者に故意に伏せられていた真実は知っていた。 原作を読み終えた今、小説から触れればよかったと後悔を噛みしめている。叙述トリック…

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常

ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~ (メディアワークス文庫)作者:三上 延発売日: 2013/02/25メディア: Kindle版 第一話 アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(ハヤカワNV文庫) 読書が好きなら、人の感想を横取りして自作発言…

ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~

ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ (メディアワークス文庫)作者:三上 延発売日: 2013/02/25メディア: Kindle版7~8年ぶりくらいの再読。当時は感想を残す癖がなかったので、展開をほぼ忘れていた。なので初読のつもりで読んだ。 第一話…

罪の声

罪の声 (講談社文庫)作者:塩田武士発売日: 2019/05/15メディア: Kindle版6章まで展開が緻密で、読了に1ヶ月近くかかってしまったけど、読んでよかった。 映画は映画、小説は小説で楽しめた。現実に起こったグリコ・森永事件の参考文献も読んでみようと思う。…

彼女は僕の「顔」を知らない。

彼女は僕の「顔」を知らない。 (メディアワークス文庫)作者:古宮 九時発売日: 2021/01/22メディア: 文庫ミステリーというには中途半端だし、恋愛ものというには未成熟に感じた。ミステリーとしては中盤以降の展開が性急すぎて読者が置いてきぼりにされてる感…

踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿

踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿作者:北山 猛邦発売日: 2014/04/05メディア: Kindle版「世界一気弱な名探偵」というキャラ付けが新鮮で手に取っておいてなんだけど、やっぱり名探偵に自尊心という要素は必要不可欠だと思った。終始モジモジされてると不…

質屋からすのワケアリ帳簿 ~大切なもの、引き取ります。~ 下

質屋からすのワケアリ帳簿 ~大切なもの、引き取ります。~ 下 (マイナビ出版ファン文庫)作者:南 潔発売日: 2016/04/20メディア: Kindle版犯人の末路がコナンほど清潔ではなく、金田一ほど絶望に塗れてもいなかった。主人公と宗介はこの作品の中では貴重な良…

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身 (文春文庫)作者:東野 圭吾発売日: 2020/04/24メディア: Kindle版ラスト40ページあたりからすべてひっくり返された。さすが東野圭吾ブランド、読者の想像を超えてくる。 これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。いやそもそも、存…

質屋からすのワケアリ帳簿 ~大切なもの、引き取ります。~ 上

質屋からすのワケアリ帳簿 ~大切なもの、引き取ります。~ 上 (マイナビ出版ファン文庫)作者:南 潔発売日: 2016/03/17メディア: Kindle版上下巻合わせて550ページくらいだから、伊坂幸太郎や東野圭吾の作品だったら分割はしないだろうな。でもそれだけのボ…

亡霊は夜歩く 名探偵夢水清志郎事件ノート

亡霊は夜歩く 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)作者:はやみね かおる発売日: 1994/12/15メディア: 新書一巻に比べると、前半は教授があまり登場しなくて退屈。正直言うと、エピローグの「事件」の方がテンポもよくて面白かったな。校庭に魔法…

そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート

そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノ-ト (講談社青い鳥文庫)作者:はやみね かおる発売日: 1994/02/15メディア: 新書子供達は夏休みを終えてまた抑圧の日々に戻っていったのかと思うと、この事件は彼らのストレスに対する根本的な解決にはなってい…

今、死ぬ夢を見ましたか

今、死ぬ夢を見ましたか (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)作者:辻堂 ゆめ発売日: 2019/03/06メディア: 文庫1ミリも救いがない。だがそここそが好きなのだから、私の性癖はつくづく狂っていると思う。救いがない物語に目がない。小説の中の不幸な主人公…

AI崩壊

AI崩壊 (講談社文庫)作者:浜口 倫太郎発売日: 2019/11/14メディア: 文庫この国から貧困をなくすためには、命の選別をして無価値な人間に消えてもらうしかないという真犯人の論説、理論だけならまったく分からなくもないんだよな。食糧もエネルギーも有限だか…

望み

望み (角川文庫)作者:雫井 脩介発売日: 2019/04/24メディア: Kindle版実は息子は事件とは完全に無関係で、数日後にひょっこり帰ってくる両親とも救われるラストにならんかな?と一縷の望みを持ってたんだけどならなかったわ。真相が明らかになった時、安堵し…

山手線探偵3: まわる各駅停車と消えた妖精の謎

山手線探偵3: まわる各駅停車と消えた妖精の謎 (ポプラ文庫)作者:七尾 与史発売日: 2014/06/05メディア: 文庫誘拐事件の真相が判明したあたりまではスムーズに読めたんだけど、その先あたりから中だるみを感じて、読了に4週間近くかかってしまった。化学薬品…

呪殺島の殺人

呪殺島の殺人 (新潮文庫)作者:萩原 麻里発売日: 2020/05/28メディア: 文庫私は探偵役と共に推理する能力はないので、この小説がミステリーとして読者にフェアだったかどうかは判断がつかない。どちらかというとトリックや犯行の過程より、事件が起きた背景や…

山手線探偵2: まわる各駅停車と消えた初恋の謎

山手線探偵2: まわる各駅停車と消えた初恋の謎 (ポプラ文庫)作者:七尾 与史発売日: 2013/02/05メディア: 文庫今作は真相どころか、事件発生時の人間関係や取り巻く環境もどちゃくそ重い。1巻を凌ぐヘビーさ。 表紙は「ライト文芸です!」と言わんばかりの軽…

遺品博物館

遺品博物館 (創元クライム・クラブ)作者:太田 忠司発売日: 2020/06/12メディア: 単行本遺品博物館の学芸員・吉田を軸とした短編集。一話の長さが短いので、朝の移動時間で一話分読み終えられてちょうどよかった。 吉田の人間臭いところも知りたいので、ぜひ…

山手線探偵 まわる各駅停車と消えたチワワの謎

山手線探偵 まわる各駅停車と消えたチワワの謎 (ポプラ文庫)作者:七尾 与史発売日: 2012/06/05メディア: 文庫三人の少年が、父親の過去の屈辱から来る自尊心に人生を蹂躙された哀しい事件。タイトルや表紙とは裏腹に重い。兄弟はあくまで被害者であり、加害…

放課後

放課後 (講談社文庫)作者:東野 圭吾発売日: 1988/07/07メディア: 文庫東野圭吾の初期作品。初出はなんと80年代。の割には、時代がかった固有名詞が出てこないので古臭さをあまり感じさせない。洋弓、ブルマくらいか。さすがの手腕だと思う。執筆当時の時代性…

君型迷宮図

君型迷宮図 (朝日小学生新聞の人気連載小説)作者:久米絵美里発売日: 2018/12/07メディア: 単行本前半は意味不明なことだらけだったけど、半分を超えたあたりから世界が色づいてきて断然面白くなった。ファンタジーのつもりで手に取ったけど、実際はかなり異…

名探偵テスとミナ 黒ネコの絵のひみつ

名探偵テスとミナ 黒ネコの絵のひみつ作者:ポーラ・ハリソン発売日: 2019/07/12メディア: Kindle版今回は2人が入れ替わる正当な理由があって、冒頭は好感度が高い。犯人側の事情が深く語られている。作中では「済んだことはもういいじゃないか」って雰囲気に…

名探偵テスとミナ みずうみの黒いかげ

名探偵テスとミナ みずうみの黒いかげ (名探偵テスとミナ 3)作者:ポーラ・ハリソン発売日: 2019/04/05メディア: 単行本(ソフトカバー)伝説の怪物より、それを利用しようとする人間の悪意の方が厄介。野菜をずだ袋に入れて怪物に見せかけようっていう悪知恵…

名探偵テスとミナ 金色のドレスを追って

名探偵テスとミナ 金色のドレスを追って (名探偵テスとミナ 2)作者:ポーラ・ハリソン発売日: 2018/12/14メディア: 単行本(ソフトカバー)今回は、前巻とはうって変わって読者の良心に訴えかけてくる真相。窃盗が悪って分別がつかない年齢じゃないので、償い…

名探偵テスとミナ 消えたかんむりのなぞ

名探偵テスとミナ 消えたかんむりのなぞ作者:ポーラ・ハリソン発売日: 2018/11/09メディア: 単行本(ソフトカバー)親交が深い人達を疑うのは結構精神にくると思うんだけど、2人はそんな素振りを見せなくてすごい。隠し場所に意外性があってよかった。犯人の…

代償

代償 (角川文庫)作者:伊岡 瞬発売日: 2016/05/25メディア: 文庫筆致が淡々としている。長めの作品ということもあり、一気読みする気は起きないし、深い感情移入もできない。それでいいのかもしれない。十二歳の時に起きた火災や、その後三年間の冷遇の過程が…

殺意の対談

殺意の対談 (角川文庫)作者:藤崎 翔発売日: 2017/04/25メディア: 文庫各々の言動と思惑が清々しいほど矛盾していて、対談記事不信になりそう。頭3話くらいのうちは、まったく関連性のない短編の集合体という認識だったのが、読み進めるにつれ登場人物同士が…

配達あかずきん 成風堂書店事件メモ

配達あかずきん 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫) 作者:大崎 梢 発売日: 2012/01/01 メディア: Kindle版 パンダは囁く 文庫本の整理番号を巧みに操った暗号解読話。恥ずかしながら生まれてこの方整理番号など意識したことがない私ですら唸ったのだから、出…

神様の裏の顔

神様の裏の顔 (角川文庫)作者:藤崎 翔発売日: 2016/08/25メディア: 文庫通夜真っ最中は「いやそれ先に言え」って連発したくなる。後出しのオンパレード。それこそが醍醐味。通夜ぶるまいで参加者同士が繋がり始めるあたりから、面白みが跳ね上がる。空気には…