読書記録

読んだ本の感想まとめ。

ミステリー

毒殺倶楽部

毒殺倶楽部 (朝日文庫)作者:松下麻理緒発売日: 2019/10/07メディア: 文庫事実と虚構と真実の境界線が曖昧になる。それこそがこの作品の魅力だと思う。読者がラストの手紙まで辿り着くか着かないかで、作品への感想が90度くらい変わりそう。自分は手紙の主の…

時限病棟

時限病棟 (実業之日本社文庫)作者:知念 実希人発売日: 2016/10/06メディア: 文庫これは誘拐犯「クラウン」と「真犯人X」による弔いの物語である。第三者には殺戮としか映らない一連の企ては、愛息子への、兄への愛情の発露だったのだ。ラストの畳み掛けがす…

仮面病棟

仮面病棟 (実業之日本社文庫)作者:知念 実希人発売日: 2014/12/05メディア: 文庫本編はたった一晩の出来事なので、読者側も一日で一気読みするのが一番いい。一週間くらいかけてじっくり読むタイプの作品ではない。愛美=共犯者のラストは、致命的に絶望的で…

屍人荘の殺人

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)作者:今村 昌弘発売日: 2019/09/11メディア: 文庫ミステリーのはずなのに、途中からゾンビVS人間のB級ホラーになって目を剥いた。ミステリーと奇想、本来相容れない世界観の絶妙な融合。奇想ミステリーという新ジャンルが打ち立…

浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学

浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 (講談社文庫)作者:青柳碧人発売日: 2012/10/18メディア: Kindle版 クレタ島・嘘つき迷宮 パラドックス。2さつめのn進法やルービックキューブよりは抵抗が薄くて、もちろん登場人物達より早く解ける…

浜村渚の計算ノ-ト 2さつめ ふしぎの国の期末テスト

浜村渚の計算ノ-ト 2さつめ ふしぎの国の期末テスト (講談社文庫)作者:青柳 碧人発売日: 2012/01/17メディア: 文庫 麗しのルイ嬢 ルイ嬢がビジネス戦略の天才すぎて呆然。この国に実在したら、間違いなく上位3%に位置する資産家。豊臣秀吉の縛り木法の話も曽…

最後のページをめくるまで

最後のページをめくるまで作者:水生 大海発売日: 2019/07/17メディア: 単行本(ソフトカバー) 骨になったら 語り手が犯人の作品って、その人間がどれだけ常軌を逸した人物だとしても、犯罪が表沙汰になりませんようにと願ってしまう。そんな自分が少し怖い…

浜村渚の計算ノート

浜村渚の計算ノート (講談社文庫)作者:青柳 碧人発売日: 2011/06/15メディア: 文庫ここまで設定がぶっ飛んでいるといっそ清々しい。まあ、この表紙で本格ミステリーを期待する読者もそういないだろう。「悪魔との約束」が一番好きな話。÷0は解なし。学生時代…

高校事変

高校事変 (角川文庫)作者:松岡 圭祐発売日: 2019/05/24メディア: Kindle版例えば国語の試験問題にこの作品が出題され、この作品の主題を本文中から抜き出せと言われたら、私は「欺瞞は政治家の基礎」と答えるだろう。一行目から最終行まで政治家達の腹の探り…

追想五断章

追想五断章 (集英社文庫)作者:米澤 穂信発売日: 2012/04/20メディア: 文庫物語のほとんどはミステリーにしては淡々としていて、五編の断章は懐古的で正直読みやすいとは言えず。でも最後に思いがけないご褒美が用意されている、そんな小説。一般的にミステリ…

西川麻子は地理が好き。

西川麻子は地理が好き。 (文春文庫)作者:青柳碧人発売日: 2014/12/12メディア: Kindle版「ナトロン湖畔に愛の像」が一番好きな話。さくさく読めるけど真相にインパクトがない事件ばかりだなと読み進めていったら、最後が爆弾だった。殺人を犯してからの彼は…

ウツボカズラの甘い息

ウツボカズラの甘い息 (幻冬舎文庫)作者:柚月裕子発売日: 2018/10/09メディア: Kindle版叙述トリックと呼んでいいのかどうか悩む。中盤での文絵への事情聴取で、それまで信じていた文絵のプロフィールがひっくり返される。しかし文絵という語り手からすると…

泣ける物語 命のダイヤル

泣ける物語 命のダイヤル (赤川次郎 ミステリーの小箱)作者:赤川 次郎発売日: 2018/01/24メディア: 単行本 [間違えられた男]の明日 ドラマ化したら面白そう。誤認逮捕した上に殺人誘発を企てた刑事は、法律上何かの罪に問えないのだろうか。 命のダイヤル 親…

学校の物語 保健室の午後

学校の物語 保健室の午後 (赤川次郎 ミステリーの小箱)作者:赤川 次郎発売日: 2018/02/01メディア: 単行本 学校、つぶれた? 犯人の後先考えない行動もどうかと思うけど、先生の慰めの言葉もちょっと軽すぎるね。小学校ってのは、足が遅かったり運動ができな…

謎解き物語 真夜中の電話

謎解き物語 真夜中の電話 (赤川次郎 ミステリーの小箱)作者:赤川次郎発売日: 2017/12/05メディア: 単行本 [コレクター]になった日 父親がクソ。自分の罪の尻拭いのために娘を恐怖に陥れるとは、悪魔の所業。縁切ってよし。松永はいかにも常識人っぽく書かれ…

国語、数学、理科、誘拐

国語、数学、理科、誘拐 (文春文庫)作者:青柳 碧人発売日: 2016/03/10メディア: 文庫悪人がいないミステリー。昔は「教壇に立つ人はどんなことにでも詳しいマルチな人」と思っていたけど、今は何かひとつのジャンルだけ発達した人の方が好きだな。特長を捉え…

自由の物語 洪水の前

自由の物語 洪水の前 (赤川次郎 ミステリーの小箱)作者:赤川 次郎発売日: 2018/03/01メディア: 単行本これ図書館では児童書に分類されているけどいいのか? およそ救いのない話な上に、愛人や自殺者が登場するけどいいのか? 行政がいいって言うならいいけど…

儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)作者:米澤 穂信発売日: 2014/11/28メディア: Kindle版バベルの会がどんな集団なのか、初読で理解するのは難しい。きっと読書を重ねるごとに旨味が増してくる作品なのだと思う。バベルの会は、縁のない者達からは上流階級の遊戯…

Another(下)

Another (下) Another (角川文庫)作者:綾辻 行人発売日: 2012/09/01メディア: Kindle版ホラーとミステリーの両立を謳っている良作。公立中学校で副担任が配置されるなんて手厚いなあ、と思っていたらそこが謎の突破口だった。違和感は抱けても踏み…

Another(上)

Another (上) Another (角川文庫)作者:綾辻 行人発売日: 2012/09/01メディア: Kindle版想像以上にホラー濃度が濃かった。最終的に非科学的な結論に着地するのか、あくまでもリアリティが追求されるのか、先が読めない。上巻だけではなんとも感想が…