読書記録

読んだ本の感想まとめ。

Another(下)

ホラーとミステリーの両立を謳っている良作。公立中学校で副担任が配置されるなんて手厚いなあ、と思っていたらそこが謎の突破口だった。違和感は抱けても踏み込むほどの知能がなく、真相には辿り着けない系読者である。

主人公が殺人者かどうかは意見が分かれるところだと思うけど、もし彼の中に人を殺したという感触だけが残って、その相手の記憶はいずれ霞んでしまうんだとしたら、あまりにも残酷だ。人は忘却によって精神の均衡を保っているのであって、半端に欠けた記憶はその人物にとって凶器だと思う。償うことを赦されない罪は凶器だ。