読書記録

読んだ本の感想まとめ。

乙女の本棚シリーズ

魚服記

魚服記 (立東舎 乙女の本棚)作者:太宰 治,ねこ助立東舎Amazon結局少女が何を望んでいたのか、うまく読解できなかった。 鮒になった自分に気づくとき、彼女は何を思うのだろう。最後の見開きページは印象に残った。 「魚服」の意味が分からず調べたものの、Go…

葉桜と魔笛

葉桜と魔笛 (立東舎 乙女の本棚)作者:太宰 治,紗久楽 さわ,最果 タヒ発売日: 2016/12/19メディア: 単行本絵柄が、乙女の本棚シリーズの中で一番好き。姉妹の麗しさが伝わってくる。 妹のために手紙と歌をこしらえ、口笛まで吹こうとした姉の気持ちが胸を打つ…

春は馬車に乗って

春は馬車に乗って (立東舎 乙女の本棚)作者:横光 利一,いとうあつき発売日: 2021/04/16メディア: 単行本タイトル・表紙と作品冒頭とで、受ける印象が違いすぎる。 ラストでタイトルと繋がったときは、胸に迫るものがあった。前半では、夫と妻の価値観がどこ…

押絵と旅する男

押絵と旅する男 (立東舎 乙女の本棚)作者:江戸川 乱歩,しきみ発売日: 2017/12/13メディア: 単行本すごくひたむきな恋心が描かれているように見えてその実、「二次元の少女に恋焦がれ我を忘れた男が、遠眼鏡の力で少女のいる世界に行った。ずっと幸せだったけ…

檸檬

檸檬 (立東舎 乙女の本棚)作者:梶井 基次郎,げみ発売日: 2017/07/19メディア: 単行本この話を楽しめる感性は私にはなかったらしい。 主人公が積み上げた本の塔を元の棚に戻す店員さんの手間を思って、胃がシクシクした。後始末をしてから立ち去ってくれ。

蜜柑

蜜柑 (立東舎 乙女の本棚)作者:芥川 龍之介,げみ発売日: 2018/07/13メディア: 単行本終盤にある見開きページの、蜜柑と夕暮れの橙色が美しい。 特に蜜柑が空を舞っている見開きページ。言葉が一切添えられていないのが潔くていい。

瓶詰地獄

瓶詰地獄 (立東舎 乙女の本棚)作者:夢野 久作,ホノジロトヲジ発売日: 2017/12/13メディア: 単行本すごい。言葉が読者の脳みそを愛撫してくる。 私にこの手の文才があれば、こういう暗喩のR作品を書き散らしたい。漂流して無人島? に二人きりという特殊な状…

桜の森の満開の下

桜の森の満開の下 (立東舎 乙女の本棚)作者:坂口 安吾発売日: 2019/12/19メディア: 単行本男自身何人も斬り殺している極悪人なのに、女の「首遊び」が猟奇的すぎて男の悪事の濃度が薄まっているから怖い。首遊びシーンの挿絵が最小限に留めてあるのは出版社…

月夜とめがね

月夜とめがね (立東舎 乙女の本棚)作者:小川 未明発売日: 2019/10/18メディア: 単行本こちょうは訪ねる家をどんな基準で選んでいるんだろう、などという疑問を抱くのは無粋なんだろうなあ。 きっとおばあさんのような、損得勘定をせず相手の立場に寄り添える…

赤とんぼ

赤とんぼ (立東舎 乙女の本棚)作者:新美 南吉,ねこ助発売日: 2019/02/15メディア: 単行本思うに、作中の「お嬢さん」は、作者の新美南吉のなにか(あるいは誰か)に対する感情が具現化された存在ではないか。登場する「赤とんぼ」は新美南吉自身ではないか。 …

夜長姫と耳男

夜長姫と耳男 (立東舎 乙女の本棚)作者:坂口安吾発売日: 2019/11/21メディア: 単行本主人公の畏怖が恋慕に変わってないか、と考えてしまうのは私の脳内が妄想に塗れているせいだろうか。 耳男の献身はどういう感情が素になっているのか……。 姫への献身が過ぎ…

人間椅子

人間椅子 (立東舎 乙女の本棚)作者:江戸川 乱歩,ホノジロトヲジ発売日: 2020/12/10メディア: 単行本寝起きの頭で一気読みしてしまった。これが江戸川乱歩の筆力か。手紙の主は創作だって言うけど、なんだか取って付けたような感じがしないか? 私が奥様の立…

死後の恋

死後の恋 (立東舎 乙女の本棚)作者:夢野 久作発売日: 2019/12/19メディア: 単行本イラストが直接的な表現を避けていて救われた。文章にあるまま描かれていたら、多分読み切れなかった。66~77ページ目あたりって15禁じゃない? 比較的読みやすい文体だけに、…