読書記録

読んだ本の感想まとめ。

春は馬車に乗って

タイトル・表紙と作品冒頭とで、受ける印象が違いすぎる。
ラストでタイトルと繋がったときは、胸に迫るものがあった。

前半では、夫と妻の価値観がどこまでも平行線。
どっちかというと夫側に同情する。病状が悪化して昼夜問わず苦しむようになると、患者はもちろんしんどいが、看病する側も片時も気が休まらないから。精神を蝕まれる。
妻は感情論でしか話をしていない。本当に夫以外に心の拠り所がないんだ……。病床にいるなら無理からぬことか。

あたしは、何も文句をいわずに、看病がしてもらいたいの。いやな顔をされたり、うるさがられたりして看病されたって、ちっとも有り難いと思わないわ。

確かにそういう態度で看病されて、嬉しく感じる患者はなかなかいないと思う。でも、無償でする看病にそこまで尽くせる人っているんだろうか。