読書記録

読んだ本の感想まとめ。

最後のページをめくるまで

最後のページをめくるまで

最後のページをめくるまで

  • 作者:水生 大海
  • 発売日: 2019/07/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

骨になったら

語り手が犯人の作品って、その人間がどれだけ常軌を逸した人物だとしても、犯罪が表沙汰になりませんようにと願ってしまう。そんな自分が少し怖い。読者をこんな気持ちにさせるのが推理小説作家の目論見なんだろう。

公序良俗を犯している社会的地位の高い人のうち、一生その地位を守り抜く人と転落する人の違いはなんなのだろうと考えた。答えなど出るはずもないが。

わずかばかりの犠牲

この本の中でダントツのイヤミス。老人の方が十枚くらい上手だったね。人は正義と信じたもののためなら、あらゆる非合法を正当化する。この作品は語り手が加害者だからこそイヤミスになっているが、老人と孫にとっては紛れもなく正義の話なのだ。

監督不行き届き

読書中は愛人の方が偏執的と錯覚させられるけど、作者はそれを狙っているんだろうけど、実際は間違いなく夫の方が気が狂っている。昔亡くした娘と同じ名前の女性と肉体関係を持つ男なんて、ネクロフィリアと同じくらい常軌を逸していると思うし、娘が無事成長していたら近親相姦に及んでいたのか?と、問題はそこじゃないと思いつつも考えてしまう。

復讐は神に任せよ

殺人の事前準備がやや冗長に書かれている時点で、実際に手を下すのは主人公にはならないとは予想がついたけど、まさか(未)加害者が被害者になるとは思わなかった。殺意の連鎖。誰かに殺意を抱いている人間は、誰かの恨みを買っている。バッドエンドの極み。この話のラストが一番好き。