読書記録

読んだ本の感想まとめ。

高校事変

高校事変 (角川文庫)

高校事変 (角川文庫)

例えば国語の試験問題にこの作品が出題され、この作品の主題を本文中から抜き出せと言われたら、私は「欺瞞は政治家の基礎」と答えるだろう。一行目から最終行まで政治家達の腹の探り合いが続く。読書中、精神力の摩耗が激しい。

世の中の仕組みは、欺瞞を巧みに使いこなす頭のいい人達が、頭のいい人達に都合のいいように整備されていく。頭の悪い私のような人間は騙されていることにすら気付かずその仕組みに従うしかなく、頭のいい人達に嘲笑されていることを知らない。だから若者よ、勉強しろ。嘲笑される人間ではなく、嘲笑する人間になれ。登場人物達が訴えているのはそういうことだと思った。え、曲解しすぎ?

自分が正義だと信じて疑わない人は限界を知らないし、どこまでも非情になれる。実際に起きた殺人事件やテロの犯人も、ただ自分の思想を正義だと信じ続けた結果なのかもしれない。

生まれてきたようにしか生きられない。生きたようにしか死ねない。悲嘆ではなく事実としてそう認識する優莉結衣を、私も戦うヒロインと呼称したい。