読書記録

読んだ本の感想まとめ。

ウツボカズラの甘い息

ウツボカズラの甘い息 (幻冬舎文庫)

ウツボカズラの甘い息 (幻冬舎文庫)

叙述トリックと呼んでいいのかどうか悩む。中盤での文絵への事情聴取で、それまで信じていた文絵のプロフィールがひっくり返される。しかし文絵という語り手からすると余すところなく正確に出来事を語っているわけで。夫の口から語られる妻の姿を読んで、印象操作の恐ろしさを感じ背筋が粟立った。

私が暇潰しとして消費してきた数多の事件も、受動的に受け止めているだけでは、印象操作に気付けない愚者に成り果てる。能動的に情報を得る賢者と、受動的に受け止めているだけの愚者、違いは何だろう。

真犯人をウツボカズラに例えたのは秀逸。