読書記録

読んだ本の感想まとめ。

山手線探偵 まわる各駅停車と消えたチワワの謎

三人の少年が、父親の過去の屈辱から来る自尊心に人生を蹂躙された哀しい事件。タイトルや表紙とは裏腹に重い。兄弟はあくまで被害者であり、加害者家族という捉え方はしたくない。どうか報道機関に飯のタネとして消費されないでほしい。
弟の方は「世の中は支配する側とされる側の2種類の人間がいる」なんて発言をしていたので脳内で唾を吐いてしまっていた。すまなかった。
大好きな兄の復讐のために自らを窮地に追い込むなんてもうやめて、父親への復讐のために限りある子供時代を歪曲させるなんてもうやめて、自分の人生を始めてほしい。すでに亡き者となってしまった金太郎くんには、もうそれは叶わないのだから。これ以上あのプライドエベレストな父親に蹂躙される子供が出てはいけない。

結果的に未来が閉ざされてしまった大学生は、犯人を脅迫していたから非がまったくないわけではないけど、最初から犯人が「出来心」なんかで人を殺さなければ、彼の母親も早すぎる息子の死に直面せずに済んだ。

霧村とシホちゃんの推理は、結局誰も幸せにしなかった。

次巻以降で霧村とシホちゃんの出会いのきっかけに焦点が当たりそうなので、期待。