ダーク系ライトミステリーって煽り文が付いてるけど、わざわざ名乗るほどダークでもない。終始不穏ではあるけど。冒頭の、主人公が横領の罠に嵌められて会社を追い出され、肉親には金を持ち逃げされ……という不幸展開が一番きつかった。そこを抜ければどうということはない。
むしろ良家のお坊ちゃま宗介とのシーンでは笑いのタイミングすらある。……それが彼が主人公から情報を引き出すための策略だと後で分かってがっかりしたけど。
千里は汚名返上を目指して単独行動をするけど、烏島さんの「明日から来なくていい」という言葉は、失望ではなく、彼女の身や精神を案じて出た言葉のような気がするのは、考えが甘いだろうか。宗介の「仕事にしか興味がない」というのが本当なら、一緒に仕事をする人間には慎重を期すと思うのだが。これから巻が進むにつれて、烏島さんと千里の関係がどう変化していくか気になる。