読書記録

読んだ本の感想まとめ。

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

ラスト40ページあたりからすべてひっくり返された。さすが東野圭吾ブランド、読者の想像を超えてくる。

これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。いやそもそも、存在することさえ知らなかった。

これ。まじでこれ。私が編集者ならこれを煽り文にする。石神の愛情の深さを表現しようとすることが憚られる。思うに、これは彼の初恋だったのではないだろうか。

偽の自首ではなかったんだ。一昨日の自分の言葉が、今はあまりにも軽く見える。
自分の人権をすべて手放してでも庇いたい、いや恩を返したい相手がいる。警察に逮捕されたことは世間一般では不幸だけど、石神本人にとっては至上の幸福だったのではないか?

結末は、石神にとってはあまりにも残酷だった。
こんなこと言うのは推理小説の読者としては間違っているのだろうけど、靖子には出頭しないでほしかった。工藤さんと一緒になって、一生嘘を抱えて生きていくことを償いとしてほしかった。

U-NEXTに映画版が配信されてるのでこっちも見ようと思う。石神役が堤真一って絶対面白いじゃん。

この本、『今、死ぬ夢を見ましたか』を読んでいる時にTwitterのフォロワーさんからオススメしてもらったんだけど、なるほど救いのなさとか異性への献身ぶりがこの作品を想起させる。