読書記録

読んだ本の感想まとめ。

神様の裏の顔

神様の裏の顔 (角川文庫)

神様の裏の顔 (角川文庫)

  • 作者:藤崎 翔
  • 発売日: 2016/08/25
  • メディア: 文庫

通夜真っ最中は「いやそれ先に言え」って連発したくなる。後出しのオンパレード。それこそが醍醐味。

通夜ぶるまいで参加者同士が繋がり始めるあたりから、面白みが跳ね上がる。

空気には逆行するより飲まれる方が楽だから、深くは考えずに読み進めた。私は凡人である。推理小説の犯人を探偵役より前に充てられるような鬼才にとっては、登場人物達の会話はツッコミどころ満載かもしれない。彼らは「状況証拠でも被疑者にできる」と信じていたけど、それは生きている人間の場合ではないか? 被疑者死亡の書類送検で終わりだと、何の成果もられないから、警察に相棒の特命係みたいな潔癖の勧善懲悪部署でもない限り、警察は動かないのが現実だと思うのだが。

晴美さんと友美さんが同一人物(二重人格)とは驚いた。小説だからこそ成立する叙述トリック。故人の無実が証明されて(というよりプラマイゼロになって)終わり、では少し凡庸なので、こういう予想外の捻りは大歓迎。このトリックをあらかじめ見抜ける人はいないと思う。

寺島くんは逃げて。