- 作者:浜口 倫太郎
- 発売日: 2019/11/14
- メディア: 文庫
でも結局は、「真犯人にとってのぞみという人間を尊重するAIが邪魔だった」というのが簡潔な動機だと思うね。人は己の正義のためなら、他人の命どころかAIを使った殺戮行為すら正当化する。怖い怖い。
地頭のいい人間が語る正義ほど厄介なものってないかもしれない。
望さんの「ルールを守る大切さ、人を大事にする尊さを教えてあげたい」という想いがなければ、のぞみは殺戮を開始していただろうと思うと、故人の意志が存命の誰かを救うことって尊いなあと思う。
コアブートモードののぞみは桐生と望を父と母と呼び、自分が生まれてきた意味を語るのに、人間じゃないんだなあ……。なんだろうこの寂しさは。
ちょびっツを思い出す。誰かの絶望や生きる意味になり得るのに、それらは全部プログラムなんだ。
西村社長が撃たれるシーンはさぞスクリーン映えするだろうと思う。しかし事故とはいえ、警察のAI社会に必要な人財を亡き者にした罪は重い。