読書記録

読んだ本の感想まとめ。

大当たりズッコケ占い百科

那須先生からのメッセージを読む限り、『ズッコケ恐怖体験』みたいにオカルト色の強い話なのかと思ったら、人間の悪意をこして煮詰めたような物語だった。
最終的に真犯人謝罪してないし、真犯人と桐生寿美子との関係性も異様に映るし、ハチベエが間違った犯人を指名してからのクラスの空気とか、とにかく救いがない。
佐々木絵美も、ハチベエへの敵意を取り下げたと思ったら、仲良しの秋山幸子を犯人扱いしだして……。
市原弘子VS佐々木絵美、秋山幸子、それにハチベエたち三人の軋轢は、解消されることなく卒業式を迎えるのだろうな。

諸悪の根源は真犯人だけど、その人の行動を引き金に誘発される悪意がどこに向かうか分からなくて、読んでいてしんどかった。
友情物語とは対極に在る話。特に、ハッピーエンドで終わる友情もののあとに読まない方がいい。
読了後、こんなに気分が重苦しくなった作品は久し振りだ。児童小説だからって舐めていた。

宅和先生の言うように、占いを娯楽や自分の選択の後押しとして使う分には健全だけど、
100%占いを理由に人生の選択をしたり、まして人を呪うまじないを実行するのはよくない。占いに心を囚われている状態だ。

モーちゃんが、市原さんや桐生さんの行動を、栄光塾――つまり身を置いている環境の問題だと発言したのには参った。
罪を憎んで人を憎まず、か……。
この塾のランク付けや罰?のシステムは、子供達の間だけで受け継がれてきたものなのかなあ。
それとも、偉い人が考えた正式な制度なのかなあ。
どうも通っている子供達は、塾の名前とは乖離した道に進んでいるようだが?