読書記録

読んだ本の感想まとめ。

やさしいライオン

あえてブルブルを撃った人間側の事情を考えると、壁紙を突き破って猛スピードで走る百獣の王は、善良な人間たちに危害を加えようとする野獣にしか見えなかったのだろう。
住民たち全員が、ブルブルを「サーカス団の人気者」と認識できていたとも思えないし。
一方ブルブルの方は、ただただ母親が恋しくて、母親の傍に行きたくて行動しただけ。
この物語に対して、「敵意のない動物を撃ち殺した警官隊が絶対悪だ」と断罪するのは簡単だが……。私には答えが出せない。

作者のやなせたかしさんが著した『わたしが正義について語るなら』を読み終えたあとに再読したら、また印象が変わりそうな気がする。