読書記録

読んだ本の感想まとめ。

君型迷宮図

君型迷宮図 (朝日小学生新聞の人気連載小説)

君型迷宮図 (朝日小学生新聞の人気連載小説)

前半は意味不明なことだらけだったけど、半分を超えたあたりから世界が色づいてきて断然面白くなった。ファンタジーのつもりで手に取ったけど、実際はかなり異色なミステリー小説と言える。「ウノ」を越えたら世界が変わる。児童書扱いになってるけど、どちらかというと読むべきは自分を酷使し続けている社畜だと思う。人生経験があればあるほど刺さる小説。

ずっと主人公に詳細が語られなかった「事故」は、実際に私の脳に起こったことかもしれなくて、自分の脳と物語を無意識に重ねてしんどくなった。発症以後5000兆回くらい思ってるけど、ごめん脳。ずっと酷使し続けてたわ。たまには休んでほしいのに、睡眠中も脳はブラック企業よろしく働き続けているって聞いて、じゃあ自分の脳をどう労ればいいのか途方に暮れる。

サノがイチを「ウノ」と呼んだ時、やっとサノ=左脳、ウノ=右脳だと察しがついた。

  • サノ=左脳:文字による記憶を行う。記憶容量は比較的少ない
  • ウノ(イチ)=右脳:イメージで記憶を行う。記憶容量は巨大。詳細な名称・数値の記憶は不得意
  • リョウ=脳梁:右脳と左脳を繋ぐ働きをしている
  • ショウ=小脳:平衡感覚や筋肉を調節する
  • カイ=海馬:短期記憶か長期記憶にするかを選別する。長期記憶にする記憶を大脳に送る
  • モモ=偏桃体:情動(情緒)を支配する。不安や恐怖によって活性化する
  • クオリア(ぼく)=日本語訳で感覚質。端的に言うとあらゆる「感じ」。俗に言う、「心」に近いものかもしれない。特定の脳の場所を担当しているわけではなく、大脳(左脳・右脳・脳梁)が出した答えを外の世界に運ぶ役割がある

こんな感じか。

サノは途中一人になることを望んでいたけど、それこそ事故等で衝撃を受けたら記憶障害をすっ飛ばして即脳死状態になるリスクが跳ね上がるのでやめてほしい。確かに私自身文字情報の理解が速いので左脳が一番優秀だって言い分は分からなくはないけども、適材適所って言葉がある。劣等=不要論は危険だ。左脳と右脳を統合した場合、そこが損傷を受けたら、記憶障害に留まったとしても症状はより深刻になるだろう。機能が分散されていれば、リスクも分散される。

夢を映画に例えていたのが分かりやすかった。夢占いってやつは、他の占いよりは信憑性があるのかもしれないと思った。
睡眠中、体は休息してるのに、脳はブラック企業も真っ青の働きぶり。でも頻繁に悪夢を見る私の扁桃体は、ちょっとばかし感情に揺さぶられすぎじゃないですか? 闘って倒せる悪夢ならまだいいけど、私のはほとんどがそういう種類の夢じゃないのよ。稀に戦闘系の夢を見たとしても、まず勝てないのよ。……ん、すると、責任が一番重いのは、やっぱり編集作業を担当している大脳では? 扁桃体が選んだキーワードで、なんとかしてハッピーエンドにしてくれや(無茶振り)

完全に不意打ちで恋愛要素突っ込まれた。心臓に悪い。これで実はウノも想いを秘めていたら、擬人化された脳同士で三角関係になってしまう。自分のこの脳の中でそんなアオハルが繰り広げられてるの?! とか思っちゃって複雑。分かるわー、ぼくのわけの分からなさが分かるわ。

主人公の身に起こった「事故」は、片頭痛か緊張性頭痛では? それでもしかしたら、精神疾患を併発しかけているのでは。……えっ? この物語、私の脳内で起こった出来事が綴られてます?(白目)

ぼくだけだったら、このまま息をすうのもやめていたかもしれない。でも、みんなのことは殺せない。

こういうことだ。この物語の感想を一言でまとめるなら、こういうことだ。

こわいと思っていい。俺たちが、その感情を力に変える。

こんなに頼もしい言葉ありか? 私の脳も、会話はできなくてもこんなふうに思っているのだろうか……。

左脳が右半身を、右脳が右半身を支配してるの? ややこしいわ。池袋の出口とデパートか? あと私は左利きです(笑)