読書記録

読んだ本の感想まとめ。

オランダ公共図書館の挑戦

公共図書館が有料って聞くとぎょっとするけど、オランダにおける公共図書館の成り立ちを知ればさして不思議ではない。ただ、安い方でも4,000円〜って言われると怖気づく。自分の感覚では、結構図書館に出せる上限に片足を乗っけてる。月に最低7冊は借りないと元を取れた気がしない。読書家じゃない人には相当敷居が高いだろう。延滞料、紛失破損の際の補償金は日本でも徴収していいと思う。

古い建物をリノベーションして図書館にするのは、オランダに限らずヨーロッパの強みだ。日本は先の大戦で焼け野原になったからね……京都と奈良以外、数百年の時代を越えてきた建物は多くないよね。

いちいち職員に鍵を借りて使うトイレは、催していることが周りにバレバレで若干居心地が悪いし、切羽詰まっている時には煩わしくて仕方ないのでは?と思う半面、犯罪防止になるのであれば、日本の治安が悪い地域のコンビニなんかも基本は施錠して、鍵貸与制にするのも一案かもしれない。

子供向けの本を年齢別に分けて配架するのは、子供の選書がスムーズになることが期待できる反面、読書の可能性を狭めてしまう危険も孕んでいて、全面同意はできかねる。

本の背に内容を示すシールを貼るのも、著者に言及されている通り、利用者に先入観を植え付けてしまう恐れがある。本来表紙がその役目を担っているのだが、配架されている時点では表紙は見えないから悩ましい。でも村上春樹がカテゴライズ不能であるように、様々なジャンルを融合している作品は少なくないのではないだろうか。そういう本のシール付けはこの先機械化も難しいだろうし、図書館職員の負担が増えてほしくはない。

図書館の多彩なプログラムと静寂とを両立するのは困難らしい。ゾーニングと聞いて真っ先に浮かぶのは喫煙席と禁煙席だけど、空間を仕切っているだけで密室ではないから、禁煙者の不満を100%カットすることなどできないだろう。音も同じで、自由に過ごしたい側と静寂を保ちたい側、両者の意見の落とし所がゾーニングだったと思われる。電車といい図書館といい、日本人はどちらかというと静寂を好む国民性なのかもしれない。その是非はともかくとして。

スタッズプレイン図書館:公開討論会の取り組みはとてもいいと思った。Twitterでたまに議論が白熱しすぎて感情論になっている人達を見かけるけど、文字情報だけで自分の意図を正確に伝えるのは困難(というか伝わらない前提で討論した方がいい)なんだから、公的なサービスで討論の機会が設けられれば、顔を突き合わせて討論できていい。画面上では顔が見えない故に喧嘩腰になりやすいかもしれないけど、顔を見て話せばそうもいかないでしょう。それでも尚罵詈雑言言い始める人はもう人間性の問題。……とはいえ、Twitterで討論と称して喧嘩を吹っかけている人は、公開討論会の機会があっても参加なんかしないのかも。ただ文句を言って鬱憤を晴らしたいだけで、問題の解決の糸口を本気で探しているわけではないから。

わたしは、ダニエル・ブレイク』字幕版しかないようだけど、頑張って見てみようかな。しかし、ヨーロッパの公共図書館の職員は大変だ。書籍管理のプロと学びのプロとでは求められる能力の方向性がまるで違うだろうに、同時に要求されるとは……。兼任ではなくて、ITスキル専門員を配置した方がいい。