前半と後半で、主人公の覇気が対称的。もっとグラデーションでゆっくり変遷してもよさそうだけど、ここまで対比が色濃いといっそ清々しい。
ラスト2行が印象的。余白に浸れる秀逸な文。
図書委員が司書室で待機してるのがデフォルトで、最初は違和感があった。図書委員を介して貸し出してもらうには、わざわざ司書室を覗かないといけない。でも自動貸出機が常にスタンバイしていて、そちらの使用が推奨されているなら納得。今の高校ってこんなに設備が揃ってるのか。いや、私立の進学校なら不思議じゃないか。羨ましい。図書室の席がテスト前以外で埋まっているのも、自分の母校じゃありえない。
本をとっておきたい気持ち。図書室で本を借りてばかりの僕にはない思いだ。
私も主人公タイプ。図書館では計10冊借りることもあるけど、紙で買う本はほとんどない。スペースを取るから。買うとしても好きな作家さんor図書館に蔵書がない作品の電子書籍を月に1冊くらい。活字中毒だけど、所有欲はほとんどないんだよなあ。作家さんにとってはクソ読者だろう。
その代わり、読了したら感想は絶対書かなきゃ気が済まない。読み終えて抱いた思いを忘れたくはない。物体より記憶で覚えておきたい派。
でも「読書なんて時間の無駄」には共感できない。それ言ったら、この世のあらゆる娯楽は時間の無駄だ。好きな人に対して言うと逆鱗に触れることになるから気をつけてな。
作中に出てくる作品名はどれも現実に存在する。特にPOPになった小説達は読みたくなったので、安易に読書メーターの読みたい本に登録した。
POPの文章から受ける「読みたくなる度」は確かに主人公の見解通り。小崎ちゃんのは堅い印象。先輩の力作2つは、ぜひ読んでみたい。主人公のは自分の言葉じゃないので、言及できませーん。
古典部が登場したのはファンとしてはめちゃくちゃ嬉しい。小崎ちゃんと語り合いたい。
「だから時々なんだ。時々、くらげを呼ぶ。そうやって生きていく。そうやって自分の無力を知る。ちっぽけなわたしたちを乗せて、わたしがいなくなっても。きみがいなくなっても」
世界は理不尽であり続ける。
作中作ではあるけども、一番好きな台詞かもしれない。薄っぺらい下手に世界を肯定するのではなく、諦念が全面に滲み出ているのが自分には心地よい。