春の旅人

春の旅人 (立東舎)

装丁もイラストも物語も2000点満点。村山早紀さんとげみさんの作品の相性が良すぎる。私は基本書籍は図書館か電子書籍で済ませて、紙の本を手元に置いておくことはほとんどないのだが、この本にはその価値があると思った。電子書籍では決して分からない魅力がある。

花ゲリラの夜

人間はね、みんなそうなんだ。誰かにあこがれてあんなふうになりたいって思って、いつかその人を、その人の姿の幻をおいこしてゆくんだ。

さゆりさんの言葉が染みる。確かにこれはランドセルを背負っているうちは理解できない人間関係の真理かもしれない。大学生で悟っているさゆりさんもすごいけど。一生分からないまま生涯を終える大人もいる。クロッカスの花が咲く日は、そう遠くないだろう。