読書記録

読んだ本の感想まとめ。

国語、数学、理科、漂流

国語、数学、理科、漂流 (文春文庫)

国語、数学、理科、漂流 (文春文庫)

責めることは簡単で、許すことは難しい。難しいほうを選べるのは、それだけで価値のあることだ。

胸に突き刺さった文。社会の真理だと思う。勉強で得られる余裕が、大人になった頃教養になり、許しを始めとした「難しい方を選べる力」を作っていく――きっとこの物語は、そういうことを伝えたいのだと思う。まあ教養を力に変換できていない大人はSNSにごろごろ見受けられるけど、ないものを変換するのは不可能なので、何歳になってもインプットは大事ってことだね。重い話、重い事件にこの手のメッセージを混ぜ込むのはそう難しいことではないけど、こんなライトミステリーにさり気なく混ぜ込むのは結構難問だと思うので、作者さんは素直にすごい。

科目クエスチョンが美郷ちゃんの一人勝ちだったのが、少々アンバランスに感じた。最後の数学くらい、田畑にファインプレーをさせてあげてもよかったのでは。

前半の今野にはイライラする。美郷ちゃん言葉でも態度でもはっきり拒否してるのに我を押し通そうとしている。諦めが悪いとかそういう域を越えている。男子の方が心の成長は遅いっていうけど、いやはや。髪の毛毟り取りたい。同じ塾の同級生を過去虐げていたり、その人の持ち物盗んでる時点でクソ男認定されてることに気付け。迫ったら振り向いてくれるだろうっていうその自信、どっから湧いてくるんだ。漂流事件の犯人よりもこの男子が許せない私はそう、昔から現代文以外どの科目もできなかった(皮肉)