読書記録

読んだ本の感想まとめ。

言葉屋 言箱と言珠のひみつ

児童書であることを口惜しく感じる。大人の目に触れる機会は少ない。

言葉屋の起源について、史実と創作の塩梅が巧いと感じたのと、略語が使われていないからとても上品な文章。読者を所詮子供と侮っていないのがとてもいい。子供を格下に見ていない作品は、大人が読んでも面白いし学びがある。

第二章 「お世話になります」のつめ合わせ

竹内のモデルは、フォロワー数=ファン数だと勘違いしているタイプのツイッタラーだと思った。それだけならまだ可愛い方で、話から窺い知るに、息をするようにパクツイする(トラブルの元だという認識はない)タイプのツイッタラー。「拾い画」とか言って、ネットで見つけた画像を元にネタツイするやつ。良識ある全ツイッタラーの敵。部長の言葉がその通りすぎてヘドバンした。おばあちゃんの対応が菩薩すぎる。私が店主だったら、タメ口で罵詈雑言言われた時点で店から追い出す。奴は疫病神だ、慈悲を向けるな。

第三章 オシャレ戦争

身だしなみはおしゃれを内包しているって意見には賛同できない。身だしなみは人と接する上での礼儀が具現化したもので、おしゃれは自分を最大限魅力的に見せるための手段だと思う。おしゃれの方が敷居が高いし、生活に必須ではない。おしゃれは身だしなみの一部って価値観を一生持ち続けていると、将来ブラック企業の激務で服に気を回せなくなったり、出産して育児に追われ外見に金かけられなくなったりした時に、自分で自分を追い詰めることになるから気をつけてな。

私、ルールを変えただけで、結局、新しい戦争を作っちゃっただけなのかもしれない。

組紐が流行って、クラス内の雰囲気が丸くなってよかったね、めでたしめでたし。……では終わらせず、もう一段階深掘りされているのが素晴らしい。価値観や能力の違うもの同士が集まって集団を作るんだから、その差異が衝突、大袈裟に言えば戦争を生むのは無理からぬことで、衝突を0にすることはできないから、詠子ちゃんが気に病むことではないと思った。

人間は進化、するか?! 未曾有の人類の危機に見舞われている昨今、買い占め、転売、俺コロナおじさん等、IQ3しかない人達のニュースが每日のように耳に入ってくるが? それでも100年前のインフルエンザ流行の時から進化しているのだろうか? じゃあ100年前はどれだけ愚かだったんだよ。暴動でも起きたのか?

でも詠子ちゃんの言葉をおじさんが否定しなかったのはグッジョブ。子供を舐め腐った作品だと、ここで「そんなことないよ」って音速で否定してくる。子供だって単なる理想論か否かくらい感覚的に分かるよ。

人間は、お洒落、言葉、芸術の順番で仲間との絆を深める方法を獲得していったことになる。

もしこの仮説が史実だったら、ちょっとロマンだ。

おじさんの励まし方が粋。こんな考え方を提案してくれる大人が周りにいたら、それはとても幸せなことだ。

第四章 一目惚れにご用心

「教室図書館」が羨ましくて羨ましくて吐血した。小学生に戻りたい。とっくに成人した今だと「読書は娯楽だから、貧富の差が激しい公立小学校では難しいだろう」とか「読書感想文の課題図書以外何も読んでない人絶対いる」とか考えてしまうが、それはさておき楽しそう。私の語彙力が火を噴くぜ。

小学生の頃って足の速さが人気のステータスになりがちだけど、「話しやすい」「周りの男子より落ち着いている」「清潔感のある服装」ってめちゃめちゃ良物件。社会人になったら真っ先に売れるタイプ。

展開が少女漫画。言葉の首飾りを贈った人の正体が判明した件では、読んでいるこっちも心がギシギシ痛んだ。本人すら恋と分からぬまま溶けていく恋ってあるけど、桐谷くんと詠子ちゃんの場合は飴玉をプレゼントした日がスタートなので、今後の展開に期待したい。「出会い直し」って考え方が好き。

須崎くんはたぶん主人公のことが好きだと思う。桐谷くんも主人公のことが好きだと思う。最終的にどっちと結ばれるんだろう(私は桐谷くん派)。児童書で良質な男女カプに出会えるとは思ってなかった。

言質は一生続くような気がしてならない。