読書記録

読んだ本の感想まとめ。

わたしは告白ができない。

第2章 わたしのメールは届かない。

犯罪ではないとはいえ、表層だけ見るとモラル違反な出来事の「もとの原因役」を買って出るとは、小夜子、お人好しとかいうレベルじゃない。
その影響が卒業後も残り続けるリスクとか考えたのか。
情けは人の為ならず、とかじゃなく本当に脊髄反射でなんでも引き受けるタイプか。
危険だ……このまま労働社会に見を投じてしまっては……。

睦月も騒動の根本を小夜子に押し付けようとしたり、と思ったら小夜子を案じるそぶりを見せたり、言動と行動に一貫性がないように思う。
こんなわけのわからん人間のどこに惹かれるのか、今のところ小夜子の恋心が微塵もわからない。
益田くんがモテるのは合点がいくけども。

その益田くんの片想いの相手はたぶん小夜子。切ない。その赤い糸は繋がっていない。

あと益田くんはふざけて不幸のメールをでっち上げたとかいう友人と縁を切れ。
長く付き合うと、自分の人間関係を無神経に破壊されるぞ。

第3章 わたしの思い出はなくならない。

冒頭、モノローグの「喪心」という言葉選びが印象的だった。私もメンタルがどん底のときに使おう。

中庭での出来事、睦月に忘れられてたどころか、小夜子が行動原理と目的になってるとは。震えた。
恋愛感情じゃなくても、彼にとってかけがえのない存在なのは間違いないわけだよね。
第二章の小夜子を案じる言葉にもようやく合点がいった。
完全に小夜子の片想いだと思ってたのに、まさか物語中盤で天秤が真逆であることが明かされるとはニクイ。
男女恋愛の中でも、男性側のクソデカ感情に目がないんだ。

たった二言三言の会話でも、相手にとって大きな意味を持つことがある。
小夜子にとってはちょっとした強がりでも、睦月にとっては自分の中にまったくない価値観だったのかもしれない。
俄然、二人の恋を応援したくなってきた!

とはいえ、高峰さんの推し感情とファンクラブは恋愛感情以上に厄介だと思う。
恋愛は対等なコミュケーションだけど、彼女の場合崇拝に近いし、ファンクラブを敵に回したら集団と敵対することになるし……。
あと親友かさねと睦月の過去も厄介そう。

高峰弟は睦月に完全に論破されてたし、言い訳が言い訳として成立してなくて、完全に当て馬でしかなかった。
美形が当て馬って不憫だ。お口が悪すぎたので擁護はしないが。

人を推すことと、人に恋をすることは違うよね。

第4章 わたしは注目されたくない。

きっとかさねに恋人がいるとしたら会長じゃないかな。
会長が睦月の尻拭いをしょっちゅうやらされて神経すり減らしてるから、毛嫌いしてるんだろうなあ。
どろどろの三角関係にはならなそうで心底安心してる。

好きな人が自分のために怒ってくれるって、しかもその相手が自分じゃなくて加害した第三者ってなると、なんだか面はゆいやらうれしいやら……だよね。性格悪いかな?

「だから、相手を、わざとそんな気持ちにさせちゃ、だめですよ」

……いいなあ。こういう、「だめ」って非定型なのに包み込むような優しさ、いいなあ。私にはできない言葉選びだ。

「自己防衛は大事だ。でも、どんな理由があっても悪いのは相手だ」

おいおいおいおい、まさかヒロインに救いをもたらしてくれる男だとは、一章からは想像もできなかったぞ。
尊い。こういう言葉もっと言って!

いやというか睦月、熊野先輩にめちゃくちゃ嫉妬してない? 小夜子ちゃんのこと意識しまくりじゃない?

「断りたいなんて微塵も思ってないから、すげえんだよ」

そう、直接自分に利益がないのに、人のために動けるのは才能なんだよなあ。
人は自己都合で動くのが当たり前だと思うから。
小夜子ちゃんにはそこらへんをもっと自覚してほしい。睦月、もっと言ってやって!

「自分のために生きて、それが人のためになってるなんて、すげーなって」

この文だけ光り輝いて見える。

「このまま空に向かってジャンプできそうなくらいに、重力を感じなくなった。足下が地面から数センチ浮いているのかもしれない」

高揚を表現する描写としてあまりにも好きだ。私も機会があれば使ってみたい。

公衆の面前にラブレター晒しの犯人を引っ立ててきたのって、睦月にとってほかの男子への牽制なのでは……?

というか! だから言ったじゃん、ちゃんとリスクを考えたのかって。
悪人になるなんて安請け合いするもんじゃないよ。

第5章 わたしは失恋したくない。

1章のラブレター紛失事件の真相や二章のラブレター2枚目行方不明問題の真相もだけど、睦月の「告白されちゃった」からの「俺も小夜子が好き」には男女カプおばさんとしてときめいた。
ぼろぼろしわくちゃのラブレターが、たまたま貸した資料集に!
両片想いのどストレートをありがとうございます。ありがとうございます。尊い
久しぶりに恋愛小説を読んで悶えました。お幸せに。お幸せにー!

とはいえ小夜子ちゃんはこれからも睦月の嫉妬と独占欲に苛まれることになるのかと思うと、会長やかさねの気持ちに寄り添いたくなる。
睦月は決して優しくはないし善人でもないけど、なんなら王道少女漫画でヒーローとヒロインにちょっかい出して怒らせかねないポジションだけど、……小夜子ちゃんが幸せならいいかあ。