読書記録

読んだ本の感想まとめ。

安達としまむら

制服ピンポン

百合に限りなく近い友情ものだと思って読み始めたら、まだ一巻一話だからなのか、知り合い以上友達未満の不安定な間柄だった。
これからゆるやかに百合になっていくのだろうか。
ブロマンスの女性版ってなんて言うんだろう。

しまむらの友達二人が絡んだときの、安達としまむらそれぞれの感情の機微が絶妙だった。
一番仲のいい人の別の友達の存在に気後れしたり、一線引いてしまったり、
逆にしまむらの立場から「今日会えなければ、もう卒業まで会えない気がする」ときの寂しさ。これらの感情に名前を付けたい。

未来フィッシング

たぶん安達はしまむらが思っている以上にしまむらのことを気に入っていると思うし、むしろ、相手への執着はしまむらより安達の方が上だと思う。
そういう感じが、今話では安達の言葉の端々から伝わってきた。
具体的には、授業へ誘われたときや、ドーナツのおすそ分けをされたときの反応で。
手を繋ぐほどに甘えていたのに急に態度を翻したのも、きっと「拗ねた」が正解じゃないかと。

安達クエスチョン

急に視点が安達に移ったからびっくりしたわ。
チャイナドレス姿のイラストがないことに、少し落胆。見せ場だろそこ、と。
安達がしまむらの間に座ったときのイラストはナイスだった。イラストレーターさんは尊い仕事をなさった。

行動基準がしまむらなのは、まるでじゃなく紛れもなく片想いだと思う。天秤は明らかに安達の方が重い。
これが友情的な片想いなら、友達を増やすことでその天秤のバランスを整えられるんだろう。でも……。

告白(未遂)くらいで「自分に明日は来るのか」なんて心配してしまうあたり、世界のスケールが高校生サイズ。
でも自分もかつてはそういう世界で生きていたので、馬鹿にする権利はない。
しまむらの目にはどうも安達は淡白な人間に見えているようだけど、実際の彼女はとても心が忙しい。読者だけが知っている。

二等辺トライアングル

しまむらが安達の戸惑いや羞恥に1ミリも気付いていなくて、さすがに安達が不憫になったよ。
でも、同性ならそういう考えに至らないのも仕方ないのかな。
ヤシロ(外見年齢小学生)に対抗心を燃やす安達かわいい。

だから、わたしはこれからも摩耗していく。
自分を保つために、少しずつ失っていくのだ。

しまむらより10年以上長く生きてる人間(先輩と言えるほどできた人格ではない)から見ると、高校時代からそんなに人付き合いに後ろ向きで、これから先70年くらいの人生が大丈夫か勝手に心配になってしまう。
やっぱり安達よりしまむらの方が、自分や周囲を冷めた目で捉えている。
これは、環境が変わるごとに人間関係リセットするタイプだ。
しかし私もそのタイプなので、彼女の価値観を何も否定できないのであった。