読書記録

読んだ本の感想まとめ。

かがみの孤城 上

先に映画で診ていた作品を年単位で積んでいたのを、ようやく読了。
三学期の始業式に、城のみんなで学校に行く約束をしたところまでが上巻。
こころ以外の城のメンバーの背景は、まだ多くは語られない。

真田美織たちが家に踏み込んできた「例の日」の回想が一番印象深い。あのシーンの臨場感と粘ついた恐怖からは、でも語りが終わるまで離れられない。あそこに限っては一気に読み終えないと、本を開いていないふとした瞬間に自分も襲われるような気がして。
やっぱり本当に人間を萎縮させ、人生を変え、殺しかねないのは、自身が正義だと信じて疑わない別の人間の価値観なのだと強烈に思う。

恋愛要素がなければ成り立たない物語ではあるものの、これを恋愛ものに分類するのは軽薄さを感じる。

それから、思春期の機微、「周りと同じようにできない」ことへの羞恥(と当時の私は思っていた)が繊細すぎるくらい繊細に描かれている。繊細すぎて恐ろしさすらある。あの頃は自分でも何が起爆剤になるか分かっていなかったという意味で。