読書記録

読んだ本の感想まとめ。

渡会くんの放課後恋愛心理学

恋愛小説のつもりで手に取ったら、もちろんそれが主題なんだけど、
小中学生の教室内での繊細な人間関係、感情の機微、洞察力の高さが1シーンで描かれていて舌を巻いてる。
やっぱり児童書は面白いわ。

それに加えて、2人のすれ違いぶりが完全に私好みなんだわ。恋愛小説としても好き。
ヒロインが気持ちを自覚・言語化した直後に怒涛の展開が訪れるのが最高だね。
男子の方が感情を上手く整理できていないのも、二次成長期らしさがあっていいよね。
恋って予定通りにはいかないねえ。

ヒナちゃんが渡会くんを心理学の講師、恋愛の指南役として信頼するより先に、
渡会くんにとってのヒナちゃんは彼が学校に登校し続ける理由になったのでは。
夏休み明けに教室に行く理由になったことは本人が明言してるし。
第一印象は微妙だったとはいえ、変化球のボーイミーツガールじゃねえか!!!

絶対、渡会くんの矢印がヒナちゃんに向く方が、ヒナちゃんのそれよりも早かったと思う。
だって渡会くんが彼女を糾弾した本質的な理由ってそれでしょ!?

「もう、どうしましょうねぇ……?」って困惑から出た言葉なの?
私はあふれ出る恋心9困惑1くらいの比率だと思うな!?
(口ではこう言ってるけど、かわいいからいつまででも眺めていられる的な)。
CV付けてほしい。しかし声優界に疎すぎて、この人柄にぴったりな配役がさっぱり分からないのが口惜しい。

戸川くんが完全に当て馬として用意されたのが不憫……と思っていたら、エピローグでヒロインが彼に嫉妬する描写がされていて笑った。
戸川くん、渡会くんのこと好きすぎるでしょ。

心理学の方は、専門用語が遠慮なく登場して大人でも勉強になった。
やっぱりストーリーと絡むと理解が容易だね。
心理学に興味を持つ第一歩としては、ちょうどよさそう。
ただ後書きに数字がガッツリ関係するとあったので、私が心理学方面の学習書を手に取ることはないと思う。
心理のことって数字で表現したり分析できるものなのか……?
それに原作の展開からも分かる通り、心の一番柔らかい部分で好きになった相手に、学問はときとして役に立たないのですよ。