読書記録

読んだ本の感想まとめ。

異世界薬局 1

  1. アニメだと薬学研究者であった頃のフルネームも年齢も明かされなかった。同世代だったのか……。
  2. 私も自己犠牲自己犠牲と第三者からよく言われる上に、うつ病患者だし、大病も患っているので過労死した彼に大して何も言えない。だって私も今の職場で同じ道を歩む可能性がゼロじゃないから。まあ准教授と比べるとカスみたいな役割だけど。
  3. パクリタキセル、以前投与してもらっていた薬物だから唐突に名前が出てきて驚いた。こういうことがあると、異世界に対して親近感が湧くわね。
  4. この本の作者さんは、大学の薬学部を出た人なのかな。それとも、それこそ薬学研究者が監修しているのかな? そのあたり後書きとかに書いてあるかも。著者プロフィールに、がん研究に取り組む現役研究者って書いてあった。作家と研究者の草鞋は、タイムマネジメントが謎すぎる。でも一人のがん患者として親近感が湧いた。
  5. エレンがファルマに心を開く過程がアニメよりも丁寧に描かれていて、これぞ原作の醍醐味よ。
  6. 皇帝陛下、初登場時はご病気のせいでやつれて見えたけど、24歳。在位7年ということは17歳で継いだのか。なんということだ。かの有名なマリー・アントワネットより早い、彼女は王妃だから単純比較できるものでもないけれど。
  7. 帝位が世襲制ではなく実力主義であり、人間性も条件としてあることに安堵している。
  8. 施療で血痕や汚れがつくなら、現代のように真っ白にした方が合理的では? コートを洗わないっていうのも不衛生で不可解。
  9. 「穏やかに殺される」字面を整えても、安楽死ってそういうことよね。患者本人の希望ありきの施療でなくてはいけないよね。
  10. 結核で瀕死の状態で『そなたの言葉が信頼に足るか、まだ自ら判断はできるつもりだ』は本当にすごい。私は安楽死が推奨されるほど病が悪化したとき、自分の意思なんて保っていられそうにない。人間としての格の違いを感じる。
  11. 死を待つ患者に寄り沿って、爵位を失うリスクを犯しながらも無能薬師のふりをする。そもそも彼自身が結核に感染しているし……。確かに一流の覚悟だ。一人の病人の私としては、自分が患っている病名を知ってから終わりたいとは思うけど。
  12. 宮廷薬師の条件が、常人にはエクストラモードすぎて呆然。宮廷薬師は、その条件をすべて満たす以前から、後生に名を残すことが確定している。
    1. ファルマの人格が31歳ってことはもはや関係ないよ。薬学研究者だった頃、本当にその手腕が時代の最先端でなければ成し遂げられない、紛れもなく偉業だよ。そして最先端であるだけでは当然ダメで、データだけではなく患者の容態そのものを見つめることと、心に寄り添うこと。そういう医療の本質を実行する必要もあるんだよ。
    2. この状況で皇帝陛下に否を出せる人間がいたら、お目にかかりたい。
  13. その浅慮な薬師が大恥を掻いたっていう試問のシーンが読みたかった(性格が悪い)。アニメじゃ時間的都合か、このあたりの会話が全部割愛されてたからなあ。こういうチートな展開こそ面白いのだ。しかもファルマの場合、まったく嫌味がないんだからすごい。
  14. 「そなたの子息は、国を変えるだろうが」皇帝からの褒賞の言葉として、これ以上のものがあるだろうか。
  15. 皇帝陛下のソロイラストありがとうございます。美しい。
  16. ファルマにとっては微塵も笑い事ではないけど、親書と返事の言葉選びに笑ってしまった。
  17. 市民の平均寿命を引き上げるってそれ、見ているものの規模が大きすぎて、ほとんど政治では?
  18. エレンとセドリックの若さに驚愕。市民の平均寿命が50代であることにも納得がいく。日本の平均寿命は80年とすると、こちらの世界はおおよそ70%くらいとして、16歳は現代日本でいう21歳前後、42歳は57歳前後か。いやいやいや、それでも若すぎるが?
  19. 薬学と化粧品の親和性がこんなに高いとは知らなかった。まさかファンタジーライトノベルを読んで、さすがにもうちょっと真面目に保湿とクレンジングをしないとな、と思わされるとは。
  20. 薬学と歯科医学は、患者側からすると別の分野っていうイメージだけど、ここも異世界だと通じるものがあるのか。
  21. 技術局への技術登録を匿名で行う意味はあるんだろうか。登録者はバレバレだと思うが。
  22. 私もデンタルケアへの意識を高める必要があると、これまたこの作品を読んで感じた。フロスなんて生まれてこの方まともにしたことがない。
  23. あとファルマの歯石がまったくなかったり歯も汚れなかったり、そもそも皮膚表面に常在菌が居なかったりするのは、やっぱり何か大きなフラグなんだろうな。やっぱり人じゃないんじゃない?
  24. エピローグの最後の一文が不穏過ぎて好き。これがあの異端審問官の尋問に繋がるのね。