読書記録

読んだ本の感想まとめ。

メガバンク銀行員ぐだぐだ日記――このたびの件、深くお詫び申しあげます

タイトルとイラストのタッチから、もっと穏やかでライトな内容かと思ったら、
銀行業界の前時代的なしきたりと、支店長からのパワハラ、出世コースからずれていく展開に吐きそうになった。
銀行員はいつの時代も花形の職業だと思っていたけど、色々無理な展開が多すぎた。

一番理解不能だったのは、結婚式をやるかどうかを所属する支店の支店長が決めるってこと。
2022年現在もまだあるしきたりなのだろうか? そのほかにも結論が出ないリモート会議、印鑑紛失(窃盗)、残業時間の虚偽申告、バッファゼロの人事異動など、コンプライアンスに逆行することのオンパレード。 
負のスパイラルはどうしたら断ち切れるんだろう。
業務改善コンサルティング会社とか、金融業界外の人間が束になって是正しなければ、もう無理だと思う。銀行内部の監査なんか信用できない。

まかり間違っても私には務まらない。
次に銀行の窓口に行く機会があったら、お世辞や機械的な挨拶にとどまらない謝辞を意識しようと思う。
重なるシステム障害を繰り返しているのに、謝罪ばかりで改善が見られない上層部にはほとほと呆れているけれども、状況をなにも知らない行員に罪はないものな……。

目黒さん(ペンネームだろう)はたぶん落ちこぼれではまったくなくて、むしろ銀行業界をまったく知らない私からすれば「課長ってえらい人じゃん!!?」って思うんだけど、たぶん彼よりよく言えば要領がよく、悪く言えばずる賢い人間はいくらでもいるんだと思う。
この世界では、誠実で真面目で面倒見のいい人間は評価されないらしい。金と出世のためなら不正なんか厭わないタイプなら、たぶん出世頭になれる………………

毎朝のルーティン(シャッターを上げたあとの挨拶、周辺の見回り)から、目黒さんの誠実さと人情を垣間見ることができる。
誠実すぎるくらいではないか。30年間ブラック業界で揉まれたにしては、人柄の純度が高すぎる。

役職定年という制度が謎。
給料が6割に下がって出向になるなら、本人たちにとっては嘱託契約みたいなもん。
銀行員としての人生は実質55歳で終了するのか。