読書記録

読んだ本の感想まとめ。

みんなで守れ! ふくちゃんのいのち

読了してすぐ、福山市立動物園のWEBサイトを覗きに行って、Twitterで15時間前にふくちゃんが元気に遊ぶ姿が発信されているのを見つけた。とても幸せな気持ちになった。
ふくちゃんには今後も再発することなく、天寿を全うしてほしい。
あ、Twitterはすぐにフォローしました。

まず思ったのが、結核って人間だけの病気じゃないんだ、ということ。
日本での結核のイメージといえば、戦前に罹患すると死亡率が高い重病ではあるものの、現代では適切な治療を適切なタイミングで受けられればすぐに余命宣告がどうとかいう話ではない……という感じ。
でもそれは治療方法が確立されている人間の話で、体格も歩き方も食べる量もなにもかも違うゾウの場合は、すべてが手探り。

動物園のスタッフさんや本に登場した関係者のうち、誰か一人でも欠けたらふくちゃんは治療を無事終えられなかったかもしれない。
彼らの尽力には敬服するばかり。重病の治療や介護は心身の調子を崩すことが往々にしてあるから、彼らの体調に影響していないといいけど……。

クラウドファンディングも、ふくちゃんを元気にするために欠かせなかった取り組みの一つ。
当初のゴールが150万円で、最終結果が700万円以上は本当にすごい。
この時代にクラウドファンディングという仕組みがあってよかった。

ふくちゃんは、1年半もの間毎日投薬に耐えたんだ。私の治療が霞んで見える。いい加減にしろってなるのが普通。
途中二度も命の危険に晒されながらも、その灯火は消えなかった。
その強靭な忍耐力と生命力は、ゾウならみんな持ち合わせている特性なのか? それともふくちゃんの人柄なのか?

動物園の「環境エンリッチメント」という考え方も、初めてその詳細を知ることができた。
動物がごはんを自分で見つける工夫をするのは、動物が健やかに暮らしていくための方法なんだね。
「あげ方を変えたら、『なんで直接くれないの?』って反発や信頼関係の損傷に繋がるんじゃないか」と勝手に心配したけど、決してそんなことはないんだね。

飼育員さんは、担当動物の遊び道具を手作りしたり、開発に関わったりもするんだね。
私が幼少期、動物園に連れていってもらっていた時代にはまだほとんどなかった考え方ではないかな。
飼育されているゾウの寿命は、野生のゾウよりずっと短いらしい。
環境エンリッチメントの発展によって、動物園の動物たちの寿命が野生とほとんど変わらない時代が来るといいよね。