読書記録

読んだ本の感想まとめ。

マリー・アントワネットの日記 Rose

少女漫画「ベルサイユのばら」1巻を読んでいて、マリー・アントワネットに関する史実をある程度知っておきたくて手に取った。まあ、4年前の再読だけど。
彼女について綴った本なら角川文庫の上下巻や新潮文庫の上下巻も有名みたいだけど、なにしろ私はIQが3しかないので読解力が追いつかぬのだ。

その点、この日記小説はいいよ。現代の若者言葉をふんだんに織り交ぜながら、アントワネットを「私たちとなにも変わらない10代の女の子」として綴っている。
たぶん、国内で流通しているマリー・アントワネット関連本の中では、ぶっちぎりで親しみやすい。
俗語の注釈が80近くあるのには笑った。女子高生世代なら、一切の注釈なしで読めるのかしら。

アントワネットも初経は恥ずかしかったし、ストレスでコルセットを脱ぎ捨てて暴飲暴食に走ったし、お母さんの説教は鬱陶しかったし、年単位で女同士の大喧嘩を繰り広げるし、高頻度でパリで夜遊びするし、恋もするし。
たった14歳で王太子妃となった少女にかけられた重責を思うと胸がしくしくする。
ヴェルサイユのお着替えのしきたりに一番ドン引きした。服を渡す人間が誰かなんてどーーーでもいいわ。王太子妃が風邪引くでしょうが。

ベルサイユのばら1巻ではかなり丁寧に描写されていたデュ・バリー夫人との対立は、この本では割とあっさりした印象。
アントワネットを操り人形にしたおば様方3人はともかく、母マリア・テレジアの気持ちもアントワネット本人の嫌悪もどちらも推測できるから困る。
公妾、寵姫と呼ばれる存在には、確かに理解を示したくない。
でも挨拶をして一言二言言葉を交わす=ヴェルサイユ宮殿への屈服と捉えるアントワネットは、拡大解釈しすぎのように思う。
とどのつまり、彼女もヴェルサイユ宮殿の謀略とゴシップの犠牲者になったということか。
彼女も作中で記しているけど、出会い方さえ違っていれば……と思わずにはいられない。

しかしこの王太子妃……宮殿に来てからは、日にせいぜい1~2時間しか勉強をしていないようだけど、この時代のヨーロッパの女性王族ってそんなものなの?
国政を行う王を公私共に支えるパートナーという位置づけではなく、あくまで「世継ぎを産む道具」としか捉えられていなかったのかな?
フランス革命で彼女は後半の人生悲劇の道を歩むことになるので、かつてのフランス王国の価値観が分からない。

フェルセンとの交流は下巻で深掘りされるんだっけ?
恋とはどんなものかしら。それを知る前に、14歳で嫁いだアントワネット。フェルセンとの出会いが18歳。
……責められないよな。不倫とかだと「出会う順番を間違えた」みたいにほざく人いるけど、それとはわけが違うもんな。

このままBleuへ進みます。