- 期待値以上に深いメッセージ性のある物語だった。人間のアイデンティティの話だった。
- 人間が古代から優劣や価値観の相違から争いを繰り返してきて、今も繰り返していることは事実だけれど、それを個々の心を殺すことで潰そうとするのは短絡的と言わざるを得ない。人間を規格化するのは、軍隊に通じる考え方だと思う。時代に逆行している。
- 個人的に泣けるポイントは、①時空空間でソーニャが「またガラクタに戻りたいのか」と詰められて銃の引き金を引くところ②ドラえもんが虫にされて退場するところ③のび太がジャイアン・スネ夫・しずかちゃんの心を取り戻そうと言葉を紡ぐところ④ソーニャがドラえもんを地上に落として一人逝ってしまうところ。特に①はリアルに泣いた。ぶわってきた。
- 蒼い虫が映画冒頭とラスト近くで繋がる展開には震えた。
- ソーニャはパーフェクトロボットに改造される前、自己肯定感がゴミだったのだろう……。だからガラクタに戻すと脅迫されたことが、この世で一番恐怖だったのだろう。そして、パラダピアの地上への落下を命と引き換えに防ぐことを、最大の自己肯定としたのだろう。
- メインメモリーが4人の手元に渡った演出がニクイ。エンディングシーンでお世話していた未来の子ども2人は、ひょっとしてのび太の血縁者かな。
- ドラえもんはローンを何回払いで契約したのだろう……。のび太想いなのは尊いけど、自分の身を滅ぼさない程度にしてほしい。
- ジャイアンはいつも高圧的にのび太を野球に誘うけど、高確率で失敗することが予想できるのに見限らずに何度も誘うのは、実はジャイアンなりののび太への愛情なんじゃないか。だって普通は3回もやらかさられたら「もう誘わない」ってなるでしょ。
- 来年の映画テーマは音楽。オーケストラ系? 来年の春も、生きていたい。
- 世界が素晴らしいなんて私は言わないけど、心を規格化されたパラダピアよりはずっと幸福だとは思うよ。