- 映像がつくと物語のからくりには否応なしに中盤(ストロベリーティーのくだり)で気付かされるけど、それでもなおよかった。ただ、このトリックは小説の方が巧妙に隠しやすいと思うし、一次は小説で出会った方が幸せだったかもしれない。
- 私も母が乳がん末期を宣告されたり闘病生活を見ていたり死亡を受け入れられなかったりで、学校に行けない時期があったけど、こころちゃんの経緯は私なんかの比じゃなかった。学校に行けない苦しみは他人と比較できるものじゃないって分かってるけど、自分とだけは比べてしまう。ある意味自分だけが特別なのよね。自分の苦しみだけは苦しむに値しないって深層心理では思ってる。
- こころちゃんの被害は精神被害もあるけど、恐喝行為も当てはまるように思うし暴行未遂では……。
- こころちゃんがお母さんに苦しみを打ち明けて、お母さんが彼女の味方になってくれたのは本当に救いだった。思春期の頃、一番身近な人が話を聴いてくれるのは大事だ。
- 私はこころちゃんと違って、自分の胸中を言語化する語彙も勇気もなかった。だから救いの相手をフィクションの中のキャラクターに求めた。そのおかげで生み出せた作品も未来で築けた関係もたくさんあるので、後悔はしていないけれど、こころちゃんはすごい。本当にすごい。
- 中盤で家に来たイケメン先生って副担任か何か？ 軋轢の一方の言い分だけで話を進めようとしていて、教育者なのに致命的に視野が狭いと思った。勉強を教えることは上手いのかもしれないけど、こんな人間に人生を導かれたくはないな。
- 2年生から担任も変わるし、問題の女子ともその取り巻きとも別のクラスになれたのはよかったけど、それだけじゃ体育とかの合同授業で一緒になる可能性はあるんじゃないかな。思い切って転校した方がよかったのでは、とも思うけど、それだとリオンとの再会の機会が絶たれてしまう。悩ましい。
- 劇場版では真田さんのその後について言及はなかったけど、原作ではあるのかな？ それだけが消化不良。裏でクラスメートの自尊心破壊してるのに先生たちからの評判はいいって、兼末健次郎タイプか。世渡り上手タイプか？ いつか化けの皮が剝がれてしまえ。
- こころちゃんにブスとかほざいた男子の名前がよく思い出せないが、恋人やその取り巻きにせっつかれて女の子に暴言を吐くようなクソ男は視界から消した方がいい。
- 7人の服装や言葉遣いだけじゃ、時間のずれには気付けなかった。ミステリーの映像作品としては上手く作ってあると思う。
- スバルは昭和世代の人だけど、全然古臭さを感じない。アキのルーズソックスとかポケベルとかのが遥かに時代性を感じた。
- マサムネのCVを知らずに鑑賞したら、中の人が小さくなった名探偵と同一人物だった。マサムネのあのセリフは劇場版オリジナルだと思う！ あと虚言癖は精神疾患が隠れてるかもしれないので、転校とかより心療内科で治療した方がいいと思う。みなみさんの声で、真剣にパラレルワールドという突飛な推理を繰り広げるシーンには味があった(笑)
- アキの「ストロベリーティー」が、物語のからくりに気付くきっかけになった。
- こころちゃんの不登校の経緯も悲惨だったけど、アキの過去も壮絶だった。アニメ映画内で性犯罪未遂シーンを描くって勇気ある。オオカミさまが咄嗟に助けてくれて本当によかった。これ原作で読んだらより生々しそうだな……。
- リオンとオオカミさまの関係性には、自力では辿り着けなかった。彼女も「行きたくても行けなかった」中学生の一人……。エンディングで小学生時代のリオン、それからこころちゃんとリオンを見守っていて涙を誘った。彼女は2人の間の子供として、記憶を保持したまま転生してくれないだろうか。2006年で中2なら、2023年の今年は31歳になるはずで、2人で家庭を作っていてもおかしくない時期なの。気はちっとも早くないの。
- 私が乳がんに倒れたのはアラサーになってからだけど、お姉さんが病により不自由を強いられたのは中学時代で、苦しみの重みが全然違う。
- 「帰りたくない」と約束を破ったアキの気持ち、私は責められない。
- 2005~2006年のアキには、孤城での記憶があったのかなあ。だからこころちゃんに肩入れする様子が描写されていたのかな。リオン以外の記憶は消滅したはずだけど……。もし記憶があったとしたら、未来に辿り着いたときにからくりに気付けるのは過去の人間の特権だよね。
- こころちゃんは、アキを救うことでここ1年ほどの自分をも救ったのだろうか。たったひとつしか願えないのに、口にしたのは「懲罰の取り消し」だった。優しい子だ。
- 原作読みたい。原作小説、読みたいと思いながら気力を割けないうちに鬱で倒れたからな……
- ヒロインのこころちゃん、2006年春で中2なら私と同世代。2023年のあなたは、どうしていますか。大人になれましたか。今もリオンはそばにいますか。叶うなら、あなたと話がしてみたいです。
かがみの孤城
