読書記録

読んだ本の感想まとめ。

ある男 感想

movies.shochiku.co.jp

  1. 東宝系映画と違って分かりやすいオチがなかった分、ラストの余韻がすごかった。あのあと、彼は誰の名前を口にしたんだろうか。ミイラ取りがミイラになるとは、こういうことを言うんだろうか。
  2. 「いわゆる万人受けしそうな温かい描写」は冒頭だけで終わってしまい、そこからエンディングまでひたすら救いのない描写が続く。いいねェ!!(褒めてる)
  3. 里枝さんの「知らなくてもよかったのかもしれない」「この町での事実は変わらない」という言葉は救いだった。
  4. 悠人くんの「自分がお父さんにしてほしかったことを、僕にしていたんだと思う」という言葉も救いだった。
  5. 大祐(偽)にとって3年9ヶ月は、戸籍を変えて別人にならなければ決して得られない「人生のすべて」だったのか。
  6. 彼の半生は壮絶だったし、安易に宥めていいものではなくて、最期も世間一般では「不幸な事故」と見なされるものだったけれど、3年9ヶ月の間、彼は幸福だったと思う。
  7. 元死刑囚が転がした死体のシーン、大祐に握らせた札のシーンは間違いなくR15。
  8. 戸籍交換斡旋という犯罪が成立するのは、この国の戸籍システムのバグだと思う。かといって、外国のまともに機能しているマイナンバー制度にも穴はあるのだろうが……。
  9. 相棒11の第5話「ID」は確か戸籍売買が関わった事件で、右京さんがゲストキャラを諫めるシーンもあったと思うけど、この映画を観た今の私は、そこまで勧善懲悪は貫けないな……。
  10. 親が殺人者・死刑囚になった子供の人生の痛みがどれほどのものか、私には想像がつかない。だって私の親は善良な市民だから。想像がつかないから、戸籍交換それ自体が違法だとしても「X、君は君自身の人生を貫くべきだった」とは言えない。
  11. 法律は、犯罪者を正当に断罪し、罪のない人間を守るために存在するべきものだ。Xの持つ本来の戸籍が、彼の基本的人権を殺し続けていたのなら、それは法律の穴だと思う。
  12. 毎朝鏡を見るたびに、殺人者の顔が映るってどんな気持ちなんだろう。毎朝死にたくなりそう。よく自殺せずに成人したよな。私なら自殺した方が楽だって考えると思う。
  13. 日本にも、アメリカでいうところの証人保護プログラムがあればいいのにな。被害者遺族はもちろんのこと、死刑囚の遺族にも適用される制度であってほしい。彼らの場合、整形手術は保険適用内にしてさ。
  14. 城戸弁護士の、3代前は朝鮮人?韓国人?で、すでに帰化しているという設定は必要だったんだろうか。彼を無駄に苦しめるだけで、彼自身には1ミリも救いがなかったような気が……。頭が悪すぎて読解できなかった。
  15. 奥さんの不倫本当嫌。生理的に無理。最期はなるべく苦しんで死んでほしい。こんな貞操観念ゴミ人間が人の親とは……。Xの戸籍交換より、奥さんの不倫の方が罪が重い感覚がある。