読書記録

読んだ本の感想まとめ。

セーラー服と機関銃

泉が山奥に誘拐されてからの展開は、80年代だからこそ公開できたような気がする。
近年発表だったら、太っちょの性癖について医療を始めいろんな業界から叩かれそう。
それに、社長室に乗り込んでからの一連のシーンはいろんな法律に触れる。
でも単純な読者なので、機関銃でヘロインを連射する描写がぶっちぎりで一番好きです。これはさぞスクリーンに映えるに違いない。映画版も絶対観よう。

佐久間と主人公の、単なる主従ではない関係性が好き。
太っちょに生きたまま解剖されそうになっていたとき、部屋に飛び込んできたのが佐久間でよかった。
本編ラストが、ヤクザとは対極にあるような「道徳の教師!」というセリフで終わっているのが粋。

でも正直、エピローグは蛇足が過ぎると感じた。
続編があるらしいから、また泉と佐久間コンビに活躍してほしかったのに、期待は潰えた。
わざわざ殺される必要性はどこに?
まあ、彼が宣言通り堅気になっていたのは救いだったが……。

後半のヒロインが窮地に陥るシーンで、精神病院云々の描写がある。
ひょっとして親世代が精神科に対して抱いている悪印象は、こういうフィクションの描写に起因するのでは。

警察官がヤクザと手を組んでいたっていう展開は、80年代からあったのね。
黒木刑事には、結構好感持ってたんだけどな……。
ヒロインに近付いたのは、麻薬を奪い返すためでしかなかったのか。

でもお父さんが犯罪に手を染めていなくて本当によかった。
信頼していた肉親が鬼籍に入ったあと、裏の顔を知ってしまう辛さは筆舌に尽くしがたいから。

黒木がコンクリートで固められ殺されたのは、さすがにちょっと不憫に思う。
あれ、なんで連続殺人犯に同情してるんだろう。
うーん違うな、彼の罪は余すことなく世間に公表されて、糾弾を受けてから、刑により生を終える展開を望んでいたんだろうな。
まあ、不祥事を揉み消す手腕に長けている警察がそれを許すはずはないが。