読書記録

読んだ本の感想まとめ。

作家刑事毒島

出版業界の闇にかなり打ちのめされたけど、著者曰くこれでも希釈されているらしい。
商業小説については私は一生読者側でいよう、という決意を固めさせてくれた良作。

ワナビの心理試験

どうしても京アニ放火事件を思い出してしまってしんどくなった。
作中の犯人の方が、自分の小説を評価した個人を狙っている分まだ理解の範疇だと思えてくるから怖い。
いや、もし百目鬼フリーランスじゃなく出版社所属だったら、出版社に火をつけたのかな……。
現実は小説なんかより残酷である。

自分の書いた文章で承認欲求を満たしたいなら、なにも本業作家にならなくても、趣味でサイトに投稿したり、同人誌を頒布したりじゃダメなのか? どうしても、職業にしなきゃダメなの? 分からん。
数ヶ月~年単位を費やして書き上げた大作をけちょんけちょんにされたら、憤るのもまったく分からないわけじゃないけど、三人が取調べ中に吐いていた言葉こそ、被害者の人格を否定するものじゃないのかね。

そして趣味で小説を書く私にとっては、やっぱりサイトに投稿したり同人誌を頒布したりして、性癖の合う人たちとだけで楽しむのが、自分サイズでちょうとどいいと改めて思った。例え矮小と嘲笑されようとも。
毒島の三人への批評……罵詈雑言の言葉の一部を借りるとするなら、書いた小説を同人誌にして通販やイベントで頒布って、マスターベーションの極みだよね(笑)

三 賞を獲ってはみたものの

文学賞の受賞者がその賞の審査員を殺めるって、法を犯しただけでなく、脈々と続いてきた賞の歴史とイメージにも泥を塗っている。
間違いなく、双龍社の社長以下社員全員からの恨みを買っただろう。
次の回からの受賞者は、読者から「でも殺人犯を輩出した賞……」って思われて、本人の実力とは関係ないところで販売部数が伸び悩むことになるのでは?

四 愛瀆者

娯楽にコストをかけられるほど収入に余裕がなくて、図書館に週一で通っていた時期が私にもあるので、耳が痛い話だった。
私も読了した本はこのブログや読書メーターに必ず感想を残していて、中には「つまらん」とばっさり切った作品もあるので……。
というか、ミステリーか否かにかかわらず、書く感想はほぼ例外なくネタバレありだし。
別に未読の方に喧嘩を売りたいわけじゃなくて、ネタバレを含む内容にしないと後から自分で読み返したときに思い出せないので……。

ネタバレさせなきゃ感想文も書けないって、おおおお前は小学生かよっ。

はい、私の語彙力は小学生です。申し訳ございません。

桑江の、エンターテイメントにお金を投じることに対する価値観については言及を避けるけど、
図書館で借りてきた本を投げるのには幻滅した。人としてやばい。

五 原作とドラマの間には深くて暗い川がある

主人公の性別が原作とドラマで違うんじゃ、私だったら絶対観ないなあ。原作者と原作ファンへの侮蔑だよ。

本当に僕が犯人だったら殺人が起きた事実すら表に出てこないよ

自尊心が上限値を突破してる。殺人事件の容疑者になったら言ってみたい台詞No.1。
この台詞を本書のアオリ文に据えないか?

解説

(前略)彼は執筆時間を確保するため、一日にわずか二時間の睡眠で耐えられるよう、さらにはトイレに行く回数を一日一回で済むように、自らの体を改造した。

人造人間を超越してるよね。もはや新人類だよね。生活習慣病や突然死のリスクより執筆を選んだのね。
ブラック企業の偉い人にだけは、その改造方法が知られないようにしてほしい(白目)