読書記録

読んだ本の感想まとめ。

ズッコケ文化祭事件

この作品は、賛否両論がバッサリ分かれると思う。
小学生時代の私は、十中八九六年一組側(&宅和先生)の味方だったはずだが、趣味とはいえ小説を書く今の私は、童話作家への同情を禁じ得ない。
やっぱり、原作者の断りなく作品を大幅に改変するというのは、原作者への侮辱だと思う。人権を傷つけていると思う。

というか、アタック3は改変が過ぎて、もはやパロディとすら呼べないよね。
六年一組に、小説を書いたことのある子はいなかったのかな。作品の世界観から捻じ曲げられた原作者の気持ちを、想像できる子はいなかったのかなあ。

宅和先生は、三十年間の教育者としての矜持に自信があるようだ。
しかし六年一組の子どもたちが大人になったとき、著作権周りを蔑ろにして人とコミュニケーションを取ったり、創作物を一方的に貶したり、といった人間になってほしくはない。
六年間の集大成である文化祭の成功は、それを差し置いて優先されるべき目標だったのだろうか。私はそうは思えない。

作家先生はヒステリックな人間だと作中で綴られているけど、作品の批評だってピンキリだよ。
作者の人格を否定するような批判をする人だっているよ。

作家先生は、最終的には宅和先生の意見を受け入れて一念発起したようだけど、
「作品に大幅に手を加えるのに、事前にも事後にも許可を取らずに公開した」ことだけは白旗を振らない方がいい。
これは創作者の権利なので。

なお、この作品における化け物は、宅和先生でも、演技指導をした徳大寺くんでもない。
二日間で三十枚分(四百字詰め原稿用紙換算で一万二千字)の台本を手書きで書いてきた水島かおりである。
私なら一週間はかかる。私が遅筆すぎるのか……。