読書記録

読んだ本の感想まとめ。

行きたくない

あなたの好きな/わたしの嫌いなセカイ

です・ますとだ・であるが混在していて読みにくいのだが。

本好きのあなたに問いたい。一年にニ、三冊くらいは、読み終わった後、壁に叩きつけたくなる本と出会わないでしょうか?
〜中略〜
そんな本を書いた作家のことは、それなりにまあ、嫌いになりますよね?

自分の感性に合わない本にもそれなりに出会うけど、その場合半分も読まずに読書を中断してさっさと忘れることにしてるから、パッとは思いつかないなあ。そもそも嫌いな作家を挙げられるほど、同じ作家の本を読み込めていない……。

作品への嫌悪=作家への嫌悪とは限らないよ。好きな作家の作品の中に、生理的に合わない作品が混じってることもあるし、逆もまた然りよ。

初めてのサイン会が嫌いな作家とは、さすがに不憫。生徒の方も強引が過ぎる。せめて都合を確かめろと思う。タイトルが/で区切られているって大分謎だったけど、このあたりになってようやくその理由が分かってきた。

息をするように(おそらくは自覚なしに)マウントを取る美春さん。子供に悪影響を及ぼす親が毒親なら、友人の場合は「毒友」かな。胃がキリキリするね。2人の口喧嘩を聞いていると、どちらかが決定的に悪いというよりは、お互いがお互いに毒友なのではないか。もう狭い世界に押し込められている学生時代とは違うんだから、人間関係をある程度は選べるんだから、さっさと縁切ればいいのに。

「『これを読まない人は人生損してる!』って本」きっとそんな本はないんだと思う。仮にすべての人間の常識や価値観が100%同じであるならそういう勧め方ができるかもしれないけど、もしそうだったら、出版される本の内容は代わり映えしないものになるんじゃないだろうか。人はそれぞれ違うからこそ、様々な価値観の作家がいて、一生かかっても読みきれないくらいの本が毎日誕生している。本に限らず様々な娯楽コンテンツで「人生損してる」って勧め方をしてくる人は信用できない。なるほど損してるんだろうよ、お前ン中ではな。

ピンポンツリースポンジ

近未来の時代設定。人が当たり前にロボットと暮らしていて、基本リモートワークで、週2で出勤するのが多いと認識される社会。憧れるう! ロボットロスを乗り越えられる人も一定数いると思うので、動物型や人型を完全に排除はしないでほしかった。

店員さんの出した結論に笑ってしまった。いいよいいよ、人間臭さのあるロボット。親近感が湧くよ。

シャイセ

抑揚のない筆致だけど、嫌いじゃない。社会人になってからの偶発的に出会う友達って本当に貴重なので、このままわかばさんの辛さが1%でも軽減されればいいって思うし、シャイセさんの美味しいって思える料理が増えていけばいいと思う。あー、ダメだなこの感想。言葉が軽すぎるな。

でも別に何も好転しなかったとしても、ただの傷の舐め合いでしかないとしても、お互いがお互いの隣にいることが心地良いなら、もうそれだけでいいと思う。2人がお互いの本名を明かさない、新たに付け合っている距離感が好き。

あと会社はセクハラとかトイレ会議とかなくても行きたくない。というより、働くという概念そのものがだるいので行きたくない。多分週5リモートワークになっても、自宅にいるのに行きたくないって思う。私は真面目系クズなので。

コンピレーション

一番ファンタジーな世界観だけど、一番得るものが大きかった。短編であることが惜しいとすら思うけど、短編だからこそこのクオリティーなんだと思う。

仕事の自尊心は仕事の中だけで完結させるもので、プライベートな部分の自尊心を損なわれてたまるかって私は思ってるよ。

耳が痛い。頭では理解できても、これを実現させるのは自分にはとても難しい(プライベートと仕事の境にある堤防がぶっ壊れて医者に就労を止められた人)。

黒髪で遠慮がちな友達の気持ちがよく分かる。1日のうちの1/3を過ごす場所なんだから、人間関係はできる限り平穏であってほしい。周りがギスギスしていると引きずられやすい性格なので。主人公のように割り切れたら、どれだけ生きやすくなるだろうって思う。

冒頭では「友達」は実は一人で、多重人格者なのかと疑ったけど、どうやらそうではないようだ。

「友達」は不満そうだけど、自分の意志で世界に残ることを決めた桃を讃えたい。重大なことは知らなければ重大じゃないし、外にある本当の世界を知らなければ、今そこにある世界が本当だ。どんな世界が自分にとっての本当かは、他人が指図する問題ではない。でも友達が告げてくれたことで桃の選択肢は増えたから、新しい可能性が生まれたから、そのことについては感謝するべきだと思ったし、感謝を口にした桃に拍手を送りたい。