読書記録

読んだ本の感想まとめ。

捜し物屋まやま

捜し物屋まやま (集英社文庫)

捜し物屋まやま (集英社文庫)

作者がBL界隈の人っぽいんだけど、途中からそういう展開にならなかったので胸を撫で下ろした。

第一章 三井走の脱出

主人公が商品説明会で不可抗力故の失敗→部長に目をつけられる→心身を消耗し退職→7年間引きこもり→数年後母が病死→バイトをしようと思った矢先に火事、家全焼。金や身分証明書等ほぼすべての持ち物を失う

ここまで僅か30ページ。不幸が連鎖しすぎてて、しんどすぎて早くも読むのをやめようかと思った。引きこもりだけど親の保険金で衣食住には困っていない、それって周囲から見れば勝ち組に映る場合もあるかもしれないけど、やっぱり社会的な繋がりがないっていうのは人の心を蝕んでいく。
でも読み進むにつれ、好きなアーティストのライブに行ったり友達?とキャンプに行ったり、徐々に人権を取り戻しつつあるようで本当に安心した。
放火犯ザマア。

第二章 徳広祐介の悲哀

二章のラストまできてやっと短編連作形式なんだと気付いた。
彼氏が過去の殺人を告白する動揺を歌うシーンが怖すぎて鳥肌。悪役が得意な俳優さんをキャスティングしてドラマ化したら1億倍怖そう。

第三章 間山和樹の憂鬱

凶悪な性犯罪者の人生が社会的に終了してスカッとした。和樹は割り切れない何かを感じているみたいだけど、正義の形って一つじゃないから。少なくとも元担当とその後輩、それに今までのたくさんのセクハラ被害者は、このまま加害者がのうのうと作家業を続けていくよりは救われたと思う。動画の裏事情はまあ、ほとんど騙し討ちだけど、限りなく悪に近い正義もあると私は思う。
現実の性犯罪者は裁判で無罪になったりする意味不明な世の中だから、せめて創作の中の性犯罪者くらい社会的に殺したいよね。あ、恐喝と殺人未遂犯でもあるんだっけ。

これまでの犯人の不自然な「自白」の真実が明かされる章でもある。白雄は綺麗な顔して本当に性格が悪いし口も悪い。彼の心情が次の章で明かされるんだろう。
河原さんと吉田さんが同一人物かどうかは結局宙ぶらりんのままだ。そこだけ不満。

第四章 間山白雄の災難

わ、わからん。間山白雄という男の何もかもがわからん。関係が壊れるって分かってるのに嫌がらせで幼馴染兼義兄の彼女盗るな。すぐ許してもらえると何故思った?
まあ、こんな過去があるのに今は円満な関係どころか一緒に住んでる和樹もちょっと不思議だけど。一度思いっきり殴り合ってるから気が済んだのか?

これまでの章とは違って、九割回想で現実の時間はほとんど進まない。まあ白雄がはしかでぶっ倒れてたから仕方ないんだけど、相談者が探している相手が白雄が運び込まれた病院にいたっていうのはちょっとご都合主義が過ぎないか?