読書記録

読んだ本の感想まとめ。

家日和

家日和 (集英社文庫)

家日和 (集英社文庫)

サニーデイ

夫のコレクションを勝手に捨てて、夫から生気が消えたことを不思議がっている妻はたまにネット上で見かけるけど……この主人公は踏みとどまってくれて本当によかった。伴侶とはいえ、自分以外の持ち物を勝手に処分するのは人権蹂躙だからね。

とはいえ、オークションやフリマアプリで「非常に良い」評価を受け取ることで承認欲求が満たされる、その気持ちは経験者として分からないわけじゃない。でもオークションはほどほどにして、もっと別のジャンルで生きがいを発見できればいいね。

ここが青山

「男は台所には立ち入らないもの」などと胡座をかかず、率先して今まで妻がやっていた家事をやり始めたことに感動した。そして3日で家事に慣れ、楽しめるようにすらなったのは才能だと思う。独学と創意工夫の能力がない人間に家事はできないよ。サラリーマンより主夫向きの性格なんだと思う。奥さんも心底楽しそうに働いているし、素敵なご夫婦。

「人間到る処青山あり」という慣用句は恥ずかしながら初めて知った。案の定初見だと読みを間違えたので頭に叩き込んでおく……でもググると人間をにんげんと読んでいるWeb辞書が出てくる。間違う人が多すぎて、にんげんでも通用する世の中になりつつあるのだろう。言葉は日毎変わっていくものだ。

チョココーティングのブロッコリーが悪知恵すぎて笑った。奇食というか、大人でも食べたくない。

家においでよ

別居しているのにまったく悲壮感がなくて、むしろ独り暮らしを楽しむのが上手すぎて笑ってしまった。不倫とか借金とか義両親とかの決定的な原因がないなら、数年の時を経てまた同居していそうな気がする。夫婦だからって一緒に住むのが義務ではないのだし。夫と妻それぞれがソロライフ向きな性格なんだろう。

妻と玄米御飯

この奥さんの人格まで否定するつもりはないけど、やっぱり育ち盛りの子供達には、食事の時くらい笑顔でいてほしい。第一、平日の昼までは手が出せないわけだし。

でも「これから徹夜で書く」と言った康夫の姿は素直に格好いい。一人の小説好きとしてロハスを揶揄した傑作が日の目を見ないことは残念極まりないけれど、本人が納得してした判断ならまあ、いいか。担当編集は不憫である。