- 冒頭から引率の先生たちの心労について触れられていて好き。「ただただ二日間、子どもたちをぶじに連れて帰る、それだけです。」現実の先生たちも同じ気持ちなんだろうなあ(たぶん中学生でも高校生でも)。
- これを読んだ修学旅行を控えた子は何を思うんだろう。旅行を楽しみにするなとか、気持ちを抑制しろってことでは決してない。でも故意にトラブルを起こしたり、先生の指示に逆らったりするのはやめてほしいと願うばかり。
- お小遣いの額なんて、保護者がしっかりしていればしているほど守られないわよ。紛失リスクを真っ先に考えて、予備として財布とは別の場所に半額くらい入れていかせるわよ。そしてもちろん全額使うから、戻ってはこないのよ……。
- ハチベエとハカセ、大人の優しさと期待を切り捨ててて虚無。旅を楽しんでもらう目的で渡したお金なのに。でも、すぐ漫画を買っちゃうとかせずに貯金しようとしてるだけいいのか……?
- 人間の排泄に関するハカセの別の習慣、イラストで明示されてて笑う。トイレで読書、やるよね分かる。なんでだか捗るんだこれが。
- 五軒の隣近所から8,000円の餞別って、一人平均1,600円ってことだよね。餞別だけで18,000円って、ちょっと信じられないな。金持ちがすぎる。これも時代性かなあ。
- モーちゃん、お姉さんの口車に乗せられて結局2,000円も使う羽目になって可哀想。500円の上限なんて真面目に守らずに、最初から好きなだけ持って行けばいいんだよ。
- 銀鉱石をえっちらおっちら担いできた労力もだけど、モーちゃんはお菓子を諦めるべきではなかった。明らかに現代人にとっては、微量の銀が含まれた鉱石より価値がある。ものの価値を考えさせられるエピソードだね。
- 学会にもまだ報告していない新事実を、著作のファンとはいえ修学旅行で来た小学生に……。い、いいんだろうか。コンプライアンスが不安になっちゃう。ま、まあ、まだコンプライアンスなんて言葉も概念も存在していなかったころに書かれた小説だし……。
- 突発映画スカウト&出演は、普通の修学旅行で体験できることじゃない。これだけで一つの物語になりそうな気がする。
- 宅和先生の帰りのドライブインで怪我人が出たって話、教職員や保護者たちにとってはまさに「家に着くまでが遠足」なんだと痛感する。当時先生たちはあの言葉を、私たちというより自分たちに言い聞かせていたのかもしれない。
- たった二日、たった一晩いなかっただけなのに、大人の体感時間では一呼吸分くらいなのに、そう、10代の子供たちにとっては永遠にも似た、長い長い2日間だったんだ。
- 修学旅行の翌日が休みって昭和の時代からあったんだ。安心した。
- 「六月三日水曜日、午後五時五十分。花山第二小学校の修学旅行は、すべての日程をおえた。」こんな何気ない文にしんみりしてしまう程度には、いま感受性がどうかしている。