読書記録

読んだ本の感想まとめ。

一さつの おくりもの

正直難しいテーマだと思う。これを読んだ子どもが「一番大切なものを手放して誰かの役に立つことが正義で、そうしないのは道徳に反する」と捉えてしまうリスクも孕んでいると思う。

作中にあったように、確かに傷や汚れのあるものを贈るのは(あらかじめ相手に伝えてからじゃないと)失礼かも。
でも傷や汚れは何度も読み返した証でもあると思う。例えば傷や汚れがある理由を添えて「たのしんでくれるとうれしいです」って手紙をセットにして贈るっていう方法もあったんじゃないかな。ストーリーの根幹をつついて申し訳ないけど。

だってクマタ、絵本を手放してから落ち込んでうつ状態になってるじゃない。
たまたま受け取った相手がお礼の手紙をくれたから復活したけど、そうじゃなければかなり引きずったんじゃない?

他人を気遣うことは大切な社会性。絵本の中のキツネとリスは友達同士だったから、一番大切なものをあげたことは友情を育むために必要なことだったかもしれない。でもクマタとササエは知り合い同士でもなかったわけじゃん。
雨害は悲惨だし、何かしてあげたくなるのは不自然な感情じゃないけど、友情と支援の間にはきちんと線引きをした方がいいと思うな。