読書記録

読んだ本の感想まとめ。

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猫を持ち上げるな

地の文の、読点の間でもない中途半端なところに無理矢理ネットの批判コメント(妄想)を突っ込んでる書き方が面白かった。臨場感があって。
なんて他人事だからこんな感想が出てくるけど、自分が主人公の立場だったら向こう一ヶ月の抗不安薬の処方量が倍になりそう。

この商品を買っている人が買っている商品を買っている人は

自分の意思ではなく、人工知能に選ばされているとしても、
自分がジオラマのような世界に計算されて配置された部品の一つだとしても、
それが何か問題なんだろうか、と考える私の精神はやはり健康ではないのだろうか。

考える力を失った人間は、早々に衰退・絶滅してしまうということ?
別にいいのでは? 人類の絶滅なんて、宇宙規模で考えれば蚊の羽音よりも些末な問題だと思う。

天才小説家・北美山修介の秘密

私は特定の作家に傾倒するというより、あらすじが気になったらなんでも手に取るタイプの読者なので、
小説で「分業」「効率化」と聞いてもあまり心は波立たなかった。
週間連載の漫画家やアニメや映画はめちゃくちゃ分業されてるのに、小説家だけが分業を許されない理由はないかもしれない。
いつか、人じゃなくAIが、1作品を分業して創作するのが当たり前の時代が来るんじゃないだろうか。

まあ、でも、すべての作品を半年で網羅するほど入れ込んでいる作家が分業していると知ったら、ショックを受けないわけにはいかないかあ。
今は小説=一人が書いてる、という固定概念があるものな。

それより、北美山プロダクションの賃金体系が気になる。
時給制? 歩合制? 昇給の基準はどうなっているんだろう。

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現代版夢野久作かな?

過程の医学

この世の中の全ての赤ん坊は、生まれたときから完璧に絶望しているんだと。

もしそうだとしたら、逆に「今の自分の精神状態は、赤ん坊当時のそれよりはマシかもしれない」と思えて少し救われるよ。

習字の授業

これって紙の書籍だとフォントが違ってるの? その違いを楽しむ作品なの?
電子書籍だとフォントが統一されてるから、狂気にしか見えないよ。

習字の授業が硬筆/毛筆じゃなくコピペの練習になる時代はいつか来るのかもしれないが、教師が入力の概念を知らない時代は来てほしくない。

GIF FILE

虚無。
GIF FILEの中の人の気持ちなんて考えたこともなかった。
世界に決められた行動しか取れないというのは、地獄以外の何者でもない。
一度はコミュニケーションが生まれて、起承転結の承までは進んだのに、話が萎んでしまった。
どれだけ制約があったとしても、自分で自分の行動を決められるというのは幸せなことなのだと知った。

最後の1日

あ、これ、ラストシーンが冒頭の報道に繋がるのか。
虚しい。でも、人は「これが人生の最後の一日だ」と自覚できるわけじゃない。

将来の希望に満ち溢れている人と話して生気を吸い取られる感じ分かる。
それに私も、自分の人生に一生懸命になれなくて、だらしなくて、何の取り柄もない失敗作。
キラキラしてなくても、何の取り柄もなくても、なんの目標もなくてもなんとなく生きていける世界になってくれ。
無理ならもう来世に望みを賭けるしかない。

クラムゲートの封は切られる

考えてみれば、例えば100年前と比べて物質的にも技術的にも政治的にも著しい進化を遂げているのに、ちっとも幸せな気がしない。
結局のところ究極の幸福は、時間を止めることなのかもしれない。あらゆる不幸は時間の経過から生み出されているのかもしれない。

私が結果的に都市を滅ぼす行動を取っていたとしたら、少なくとも一週間は寝込むと思うし、なんなら自責の念に囚われて首を括ると思う。
ディジーのように考えられたらどんなにいいか。
でもどうしても、時間を止められて永遠に生き続ける=死とは捉えられない。CLAMPのツバサの影響かもしれない。