読書記録

読んだ本の感想まとめ。

阪急電車

阪急電車 (幻冬舎文庫)

阪急電車 (幻冬舎文庫)

  • 作者:有川 浩
  • 発売日: 2010/08/05
  • メディア: 文庫
1駅につき1話で終点についたら折り返し、往路のエピソードのその後が語られるという構成と、登場人物達の交差が素晴らしかった。
実際にこの路線を利用している読者なら、2倍3倍楽しめると思う。自分が関西人じゃないことが恨めしい。私の最寄りの路線も有名作家が題材にしてくれないだろうか。

個人的には翔子とミサのその後の関係性が気になる。パートナーとの別れを経験した者同士、長い関係になる気がする。同じ組織に属する者同士は離縁するのもすぐだけど、帰属意識以外に共通点がある関係は意外と綻ばない。

宝塚南口駅

1話目とはうってかわってパンチのある話が来た。寝取った女と陥落された男の株が地に落ちてせいせいしたけど、満場一致のバッドエンドですねこれは……。しんどいので主人公の新しい恋の話が読みたい。

逆瀬川

結婚の挨拶に行った先で犬に尻を噛まれ、未来の嫁の家で尻にヨードチンキを塗られた亡き夫の武勇伝に爆笑。挿絵がないのが残念である。

小林駅

おばやしって初見じゃ読めない。
人間に自己肯定感を潰されることはあるけど、再び歩き出す勇気をくれるのもまた人間なんだなと思った。

東園駅

生活感溢れる駅で女子高生をナンパする社会人、自力でアイロンのかけ方が調べられず、「絹」が読めなくて女子高生にダメ出しされる彼氏。主人公はいい彼氏と言い切ってるけど、個人的には事故物件の匂いがするんだが? まあ未成年に性行為を迫ってないところは評価できるが。

宝塚方面行き――西宮北口駅

混み始めた電車で先に座って、隣の席に荷物を座らせて友達の席を取っておく――かあ。他人事とは思えない。私も忘れてるだけで経験があるかもしれない。

東園駅

逆方面の同じ駅の時は、語られたアホ彼氏について事故物件では? と血も涙もない評価しちゃったけど、撤回します。相手がしんどいもの抱えてるのを察して、自分の欲望を棄てて受け止めてる。いい男だよ彼は。
でも漢字の勉強はした方がいい(マジレス)