読書記録

読んだ本の感想まとめ。

アサーション入門

知人に初めてアサーションという概念を聞いた時は、「自分も相手も満足するコミュニケーション方法」という印象が強く残った。そのために、「相手がどうすれば満足するなんて分かるわけない、こちとら探偵でも超能力者でもないんだぞ」と反発心が生まれた。
でもこの本を読了した今は、アサーションとは互いがもっと理解し合うためのスタート地点に立つことであり、食い違いや葛藤が生まれて当然なのだと理解し、納得もできた。アサーションを、他者を変える方法として使ったとしたら、それはもはやアサーションではなく攻撃的自己表現だ。

私は自己表現のタイプでいくと、7割以上が非主張的らしい。でも「相手に合わせているつもりでも、実は相手に甘え、依存している心理も働いている」という指摘にドキッとしたし、「続けていると、段々自分でも言いたいことが分からなくなる」には心当たりしかないし、「自分の人権を自ら侵したり、考えを明確にしないことで自分にも相手にも無責任になってしまう」という指摘には反省させられた。主張しないことは、相手との関係を放棄しているも同然だと思った。
攻撃的自己表現についても、「自分の思い通りに操作するとしたら、攻撃的表現にあたる」という旨の一文に考えさせられた。自覚できていないだけで、攻撃的自己表現になっている場合が意外とありそう。

第五章が一番実践的で役に立った。3つのステップを忘れなければ、攻撃的自己表現に針が振れるリスクは抑えられそう。でもスポーツや楽器演奏と同じで、一朝一夕で活用できる方法ではないとも強く思う。紹介されていた関連本も読みつつ、悪戦苦闘するしかない。