- 作者:早紀, 村山
- 発売日: 2018/03/03
- メディア: 文庫
小鳥の手紙
表題作だけあって印象深い。コンビニたそがれ堂シリーズはこれの他に3冊読んだけど、「語り手の心情が余すところなく綴られているので、解釈に齟齬が起こりづらい」というのは共通していると思う。どちらかというと解釈を読者に委ねる作品を好んで読んできたので、新鮮なのかもしれない。
最初からいない存在を嘆くことはできない主人公を見て、思春期までの記憶を持つにもかかわらず未だに頬を濡らす夜がある私はなんて欲深いのだろうと、徳の違いに泣けた。
愛情は欲にもなります。目の前のあの子をかわいさからとりこんでしまってはいけないと思いました。
ここで身を引けるのは賢人。肥大化した愛が関係を破綻させた例(ストーカー殺人とか)は現実のニュースでも見る。
なんとなく、彼女は手術で逝去してしまうような気がする。でも不思議と悲しみは少ないのだ。
番外編 百貨の魔法の子どもたち
親子二代、ステンドグラスの魔法の猫、えのじい、赤い手袋、幼き日の喧嘩と仲直り、できたてのおでん――すべて優しい要素で構成されている。欲を言えば、もうちょっと息子くんの出番があればよかった。