読書記録

読んだ本の感想まとめ。

涼宮ハルヒの溜息

今回もハルヒの与り知らぬところで周囲がドタバタして、なんとか収まるところに収まった。ラストは当たり前といえば当たり前なオチだけど、どちらかというとこのシリーズは周囲のドタバタの過程を楽しむ作品だと思う。

シャミセンの貫禄がすごい。個人的にはシャミセンというより、師匠と呼ばせてほしい。

みくるちゃんと古泉くんは、涼宮ハルヒへの解釈という観点では永遠に歩み寄れないのね。普段の会話からは目立った軋轢を感じないから、余計に寂しさを覚えるね。

「画竜点睛を欠く」なんて高校生でするっと出てくる慣用句かな? キョンもモノローグを読む限り知識に富んでいるし、彼らは普通の県立高校なんて言うけど実はそこそこ頭いい進学校では?

どれもこれも、この半年間で朝比奈さんの肌の温もりを知った衣類の数々である。

コスプレのことをこんなに気持ち悪く表現できるのは才能だよキョン

キミとそちらのお嬢さんがあたかも会話しているかのような行為を働いたとして、それが正しい意思伝達をおこなっているかどうかなど、だれにも解らないのだ。

この世の真理だと思う。愚かな私は油断すると相手に伝わっている前提で話してしまう。こちらの伝えたいことなど基本伝わらない前提で話さないと、無駄に齟齬を生むことになるのに。

古泉くんの理屈っぽさ、今読むと何故か相当鬱陶しく感じる。高校の頃はそんなことなかったのに。
あの頃は今以上に馬鹿だったから、「なんか難しいこと語ってる」で済んでいたのだろうか。

ミライノイチニチ

ミライノイチニチ

ミライノイチニチ

未来の文明や技術を空想するのは何歳になっても楽しい。あと半世紀くらい経ったら、現実とは大分乖離がありそうではある。

イマジナリーフードとか空中運動場とか給食レストラン街あたりは、実現できるか疑問。
ウインドフィッシュ、エアノート、拡大スクリーン、家事お手伝いロボットあたりは実現できそう。
宅配カプセル、無人タクシー、キョーシツ、エアロサイクルあたりは法整備に時間がかかりそうね。背景が巧緻でワクワクする。

舞台は22世紀の地球かと思ってたら、違っててビックリ。地球が宇宙遺産に登録、素敵ね。

北里大学獣医学部 犬部!

動物愛護に興味のある人や、現在動物と暮らしている人、将来その希望がある人は全員必読の書だと思う。「可哀想」「救いたい」「幸せになってほしい」だけじゃ命は救えないと痛感する。命を救う行為は、人間にも動物にも痛みが伴うのだ。

5〜6年生と2〜4年生との間で、ワーク・ライフ・バランスに対する考え方の乖離から対立が起きていて胃痛がする。この手の対立は「24時間戦えますか」世代と「働き方改革」世代で対立していると思ってたけど、大学という狭い年齢層の中でも派閥みたいなものはできてしまうことがあるのか。
24時間VS改革というより、組織がまだ小規模で何もかも手探りだった世代と、規模が膨らんできてある程度組織ルールが敷かれてから入ってきた世代の価値観の乖離なのかもしれない。

登場人物が多くて馬鹿には把握しきれないので、人物相関図が欲しい。

本を味方につける本 自分が変わる読書術

本が世界のすべてではないこと(だから本に載っていないことは嘘だなどと錯覚してはいけない)、世の中には本を読むより大切なことがたくさんあること(だから本を読まない人を馬鹿にしてはいけない)は、肝に銘じておきたい。

正直言って、「第4章 本を手なずける」は胸糞悪い。カッターでバラバラにしろだの、解体してまた元に戻そうだの。著者は自著をバラされても痛くも痒くもないかもしれないが、傷つく作家だっているだろうよ。私が(廃棄目的以外で)昔出した同人誌を切り刻まれたらショックだし、そいつには二度と頒布するもんかって思うぞ。

本をバラす行為を許容する言葉が、さも本を出している人の総意であるかのように綴られているのが気に食わない。自分で金を出して買った本ならどう扱おうとその人の勝手だと言えばその通りなのだが……なんだろうこの腹立たしさは。
なんというか、紙の本はカバーやスピンや遊び紙その他諸々全部ひっくるめてひとつの「世界」だと私は認識している。自分にその世界を分解・破綻させる権利などないと思う。

この本、中学生くらいの子がメインターゲットらしいんだけど、多感で影響を受けやすい年齢の子らに何言ってくれてんだって感じ(口悪)

紙の本への言及のみで、電子書籍についてまったく話題にならないのが、ああこの時代はまだまだ電子書籍黎明期だったんだなと(この本の初版発行は2012年)。

世界 魔法道具の大図鑑

世界観の設定が巧緻。ワクワクする。この吸引力は多分紙の本じゃないと実現できない。単なる図鑑ではなく、世界各地のファンタジー小説への導きにもなっているところが、巧いと思う。
個人的には食事の支度をするテーブル、すりこ木の召使、いのちの粉が欲しい。

「懲らしめるこん棒」
強盗対策に良さそう(拳銃を所持していたらどうしようもなさそうだけど)。ただ持ち主に悪意があると殺人の凶器にもなりそうで、これに限った話ではないけど、間違った使い方をすると持ち主の身を滅ぼすだろう。

「キルケーの杖」
これがあれば女性に対し性犯罪をしようとする男共を一掃できるじゃん。そんな元人間の豚肉なんか食べたくない吐くわという気持ちと、性犯罪は再犯率が高いから、食ってその犯罪者自体をこの世から消滅させてしまえば二度と悲劇は起こらない安心という気持ちとが今心の中で戦っている。

トロール財布」
ギャンブル依存症にこの財布を使わせたら、症状が改善しないだろうか。ただし自己肯定感がゴミになるという有難くないおまけ付き。

「14ヵ月のスケジュール帳」
先延ばし癖を強制的に直す究極のツールかも。逆に言えば、絶対にやりたくないタスクを13月と14月に書いて放置すれば、予定も関係者も消滅させられる……?(闇)

「フィンの魔法の槍」
同人作家やブラック企業社畜は心惹かれるかもしれない。しかしどう使うは書いてないな。自分の体に刺すのか? 徹夜の代償が自傷行為だとしたらあまりにも重すぎる。

「食事の支度をするテーブル」全自動調理器の一歩先を行く、全自動食事支度機!! 皿に盛りつけられた状態で現れるなんて最高。猛烈に欲しい。
メニューが古臭い? 大丈夫、食べ物にこだわりはまったくないので。

「すりこ木の召使」
これも猛烈に欲しい。私が魔法使いだったとしたら、魔法を解く呪文は死ぬまで絶対に唱えないだろう。何故なら家事というのは、生活を営んでいる限り無尽蔵に湧く苦痛だからである。

「いのちの粉」
生活必需品に使うと日常生活に支障が出そうだから、娯楽品とかぬいぐるみや人形の類に使うのが良さそう。

「魔性の車」
所有していたらいつか轢き逃げの犯人として逮捕されかねない車じゃん。廃棄/売却したら持ち主自身が轢き殺される呪いでもあるのだろうか。

日本一醜い親への手紙―厳選版100通

命は平等で尊いものだなんて絶対に嘘だ、という気持ちになる本。虐待被害者と加害者の命が等しく尊いものだなんて考えるだけでもおぞましい。

虐待被害者が加害者を殺すことだけは、殺人の中でも特例で合法にならんかな?と考える私は狂っているのだろうか。
加害者の墓から遺骨を取り出してそれを虐待被害者が踏みつける、程度の復讐なら許されると思う。
でも不思議なことに、復讐に燃えている手紙は意外と少ない。相手を親と認識しないこと、それが彼らの最大の復讐なのかもしれない。

ちょいちょい誤字脱字があるのは、原文を忠実に掲載しているのか?

涼宮ハルヒの憂鬱

アニメで初めてハルヒに触れた時は、世界は5分前に始まった説に心惹かれたような気がする。とにかく涼宮ハルヒ、いやこの作品の世界観自体が破天荒でまったく飽きさせない。

一番の笑いどころは、SOS団発足のため学校への提出書類をでっち上げたキョンの大嘘だと思う。

語り手であるキョンの本名が思い出せないためWikipediaを覗いたところ、少なくとも2019年に最新刊が出た時点で未だ不明らしい。まだ明かされてないんかい、そりゃ思い出せるわけないわ。

作者の後書きの文章センスが好き。まさかハルヒシリーズが00年代後半の代表的なラノベ/アニメ作品になるとは、これを書いた当時はまったく想像していなかったであろう。