読書記録

読んだ本の感想まとめ。

ズッコケ三人組の未来報告

ハカセは中学のときに道を分かたれてしまったけれど、また三人組が揃ったことが嬉しい。

ミスター・スパイダーの名が作中に登場したあたりで、タイムカプセル窃盗の真相の記憶が蘇った。
「彼」とお母さんの対話が作中で明示されていないのがいい。
未来はどうなるか分からない。決して明確な未来を思い描いて疾走していたわけじゃない。でも、決断を繰り返してここまできた。思えば遠くまできたものだ。

有名人の宿泊情報や部屋への希望をホテルの従業員が社外の人間に漏らすのは、インシデントのど真ん中なので胃が痛い。コンプライアンス意識が世の中になかった時代の作品だから、仕方ないか。

スペースロックは、現代で言うところのボーカロイドを彷彿とさせる。那須先生は予言者なのだろうか。

テルマンになってフランス人の奥さんを作って地元に戻ってきて、フランス語ペラペラのモーちゃんが、三人組の中では一番衝撃だよ!

33歳の独身男性が結婚をせっつかれているのも、両親の面倒は長子が見るべきという価値観にも、時代性を感じる。

仮に三人組が1999年の花山第二小学校卒業生だとすると、「未来」の西暦は2019年……。ひえっ。もう過去の年になってる。

33歳でおばあさんなんて言わないで! とんでもねえことだ!

小学校時代に書いた卒業文集を朗読させられるなんて、ちっとも面白くないけどなあ。絶対に読みたくないし、なんなら法に触れない手段でこの世から抹消したい。

まもれる? まもれない? ルールびっくり事典

法律+その解説の基本2ページ構成。大人も知らない興味深い法律のオンパレード。
経緯が経緯なだけに理解はできるけど、守れるかと問われたら自信がない。
でも著者が問いかけたいのは、遠い土地や未来にいる私たちが「信じられないルール」を守れるかどうかじゃない。
国や時代が違えばルールも違う。大事なのは過去のルールから何を学び、異なる土地の決まりをどう認め合っていくかということなのだと思う(小学生時代の自分なら、もの笑いの種にする以外思いつかなかっただろうな)。

まさか六法全書ゆるキャラにするとはね。

小説 魔入りました!入間くん(2): 入間の決意

朗読といい、処刑玉砲といい、魔具の構築といい、入間の器用貧乏さがよく分かる第2巻。
人間関係さえ破綻していなければ、10代で頭角を現していたかもしれないのに。人間関係、特に保護者ってガチャだな……。

――私はこれ以上、あなたと親しくなってもいいのですか、と。

オペラさんは後の巻でとんでもない思惑とか立ち位置が判明するような気がするけど、それは今はさておき、
彼の第1話スピンオフ、あるいはサリバンの執事になった経緯が読みたいです。

小説 魔入りました!入間くん(1): 悪魔のお友達

有名少年マンガのノベライズ。原作もちょっと読んでるけど!(5巻くらいで止まってるけど)
よくある児童書ならところどころに挿絵が入るのが、このシリーズでは原作のコマが使われてる。たとえ原作を知らなくても、登場人物の表情や情景のイメージがしやすいと思う。読みやすい。

一巻は悪魔としての階級が決まって、悪食の指輪がはまるところまで。
入学式に登壇したこと、学年主席のエリート悪魔を一度ぶちのめしたこと、使い魔として教師を召喚したこと etc.
事件の一つ一つが結果的に入間の実績になっていることが何より面白い。

原作全然追いつけてないけど、悪食の指輪の伝承から察するに、これは入間が魔王のイスに着席することがゴールの下剋上物語なんですか?

会社に人生を振り回されない 武器としての労働法

今の私にとっては初耳!という情報はあまりなかった。とはいえ、いつでも手に取れるようにしておきたい本。
もし新卒入社した頃の自分が読んでいたら、タイトルの通り武器になっていたと思う。日本の労働法がこんなに労働者を守ってくれるって、なんにも知らなかったな。なんにも……。
実際に遭遇はしなくても、知っておくのと知らないのとじゃまったく違う。

要点があらかじめハイライトしてあるので、主旨が掴みやすくサクサク読めた。

恥ずかしながら、正社員と無期雇用社員(元有機雇用の契約社員)に違いがあることをこの本ではじめて知った。

ハラスメントに関しては、被害に遭ったときのために種類や打開策をあらかじめ知っておくことはもちろん、加害者にもならないように行動言動を自己管理していく必要がある。

巻末特典として、コロナウィルス関連トラブルへの言及があるのには時世を感じる。

彼女が生きてる世界線!(3)失われた生存ルートを求めて

まずは、彼女が生きてる世界線を実現させた「転生アクト」に最大の敬意を。
そして、骨髄を提供した「葉山トオル」へ最大の謝辞を。
なにより、これから大人になっていく葉山ハルへ祝福を。

こうして読了してみると、アクトが城ヶ崎グループの崩壊に対して何の予防策も講じなかったことも、城ヶ崎アクトとしての実績やコネクションの一切合切を捨てて自分一人での生活をスタートしたことも、然るべき結末だったのだと理解できる。
あとアクトとハルが恋愛関係にならなかったのも非常によかった。私個人も推し×自分は解釈違いです。

きみを気のすむまで殴らせてくれないか。

これは、わだかまりを無くすための儀式だ。僕たちの間に直接的な悪感情はたぶんない。でも、親の世代でこじれてしまった関係性と、生じた罪を消し去るためには、必要なことなのだろう。

待って、小学生にこの価値観を伝えるのか? 読書感想文とかで書いたりしたら親呼び出しされない? 儀式としての必要悪って、いい大人でも解釈に手間取ることあるよ?
小学生世代って、保護者や教師から「どんな理由があっても暴力は許されない」って叩き込まれるんじゃないのかな。学校や家庭のルールを作っている大人にとって、例外を認めることは面倒だからね。だってどう説明すればいいの、「誰かを守るための暴力」なんて大人だって理解できてないのに。
それとも、鬼滅の刃やワンピースで「誰かを守るための暴力」が描かれているから、自然と理解しているのかな。
最近の小学生は難しいことに向き合ってるんだなあ。末恐ろしい。

葉山トオル

この世界線に存在する登場人物名を示すとするなら「葉山ミナト」か「橘トオル」のどちらかのはずなのに、繰り返し殴られて意識が朦朧としたアクトが、もしかしたら声に出したかもしれない名前。ずるい。うっかり見逃すところだった。

何をしているのです! 乱暴はおやめください!

アニメの世界線では擁護不能な乱暴を振るっていた側の人間が……。なんでこんなちょっとした言葉を私はハイライトしたんだろう? 彼女が生きてる世界線は、アニメからどれくらい乖離した世界線なんだろう?
周囲の人間の振るまいで人格が180度変わるなら、周囲の人間がその人の人格を作るなら、世界には本当は元から悪だった人なんていないんじゃないか。そんな夢想すらしそうになってしまう。

サラリーマンは、つまらなくないですよ……

子供より現役会社員の方が涙腺が決壊するだろう、これ。

きみは、大人になる。

でも、大人になるというのは、たぶん、いいものだよ。

私も、最近ようやくそう思えるようになったよ。気付くのに10年かかった。

右も左もわからない新しい場所で、他の細胞とつながりを作って、ちょっとずつ自分にもできる仕事をして、いつしかそこが自分の居場所になっていくんだ。細胞の移植も、社会生活一年目も、異世界転生も、大体みんな同じだよ。

規模がまるで違うその3つにとんでもない共通点を見いだしたもんだ。震えた。
ちなみに「社会生活一年目」には、新卒だけじゃなく転職も含まれると思う。できてたなあ、私の居場所。本当に右も左も分からなくて泣いてたのに。

城ヶ崎鳳凰に関するニュースが報道される。脱税、政財界の癒着、過去に行った不正な経済操作、恫喝、部下への暴力……。しかしそれだけではない。
城ヶ崎鳳凰はマフィアとつながりを持ち、敵対企業の幹部の暗殺にも関与していた疑いがあるという。

黒の組織が組織的に手を染めている犯罪を全部一人でやってるじゃねえか。
小学生時代の私だったら絶対理解できない犯罪用語のオンパレード。

……植物園の温室を作品に登場させたのは、のちに無菌室が登場するというイメージを視聴者に植えつけておく意味合いがあったのかもしれない……(後略)

天才の考察じゃん(震え) こういう作り手の暗喩、大好物です。

そうです。あなたは僕の父親だ。それこそが同情すべきポイントです。あなたは僕の父親だから、こんな風に世界中が敵となったのです。

辛辣で、限りなく黒に近い灰色な言葉で好きだ。児童書レーベルでこんな言葉に出会えるとは。
僕の父親と口にしていながら、城ヶ崎鳳凰を俯瞰して愛おしむような言葉選びも好きだ。
ここがあとがきで作者さんが触れている「親と子の関係性」の肝か。

こうして会いに来た奴は、おまえだけだ。息子のおまえだけが、俺と話をしに来てくれた。

僕は城ヶ崎アクト。あなたの息子です。ねえ、お父さん。これからも僕は、定期的にここへ来ますよ。あなたと話をしにきます。なぜって、僕たちは親子だから。あなたは、僕の父で、僕はあなたの子だ。そのことはゆるぎない事実なんです。だから、お互いがさみしくならないように、僕はここへ話をしにきます。

そういえば、面会室も無菌室を思わせる造りだったな。透明な壁をはさんで、僕たちはこれからも、家族でいよう。

世界中が敵になっても、息子だけは。それは味方という意味では決してないけれど、見捨てはしない。
前世は会社員ということを考慮しても、精神年齢が高すぎる。大犯罪者の一親等なんて、見限らないと自分の基本的人権を守れないのに。
こうなることすら、転生アクトは視野に入れていたのか。葉山ハルを救うという目的のために、城ヶ崎家の未来を斬り捨てた贖罪として。

勝手にするがいい。次に面会に来るときは、脱獄計画の案をいくつか持ってこい。

呆れた。ちょっと素直になったと思ったら、すぐに自尊心を貼り付けようとする。

私、城ヶ崎アクトはこのたび、この屋敷から退去することをお伝えいたします。長い間、この家でお世話をしてくださったこと、本当に感謝しております。ここでの経験は私にとって貴重な財産となりました。以前、大変なご迷惑をおかけしましたこと、ここでお詫び申し上げます。この数年間は、ひたすら猛省する日々でした。私を見限ることなく、お世話をしてくださった皆さまのやさしさに、心を打たれました。本当にありがとうございました。私は新たな道を歩むことになりましたが、この屋敷で得た経験は決してわすれません。これからも皆さまとのご縁を大切にし、つながりを保ちたいと思っています。

すごい。退職の挨拶と本質が完全に一致してる……。私こんなに立派なスピーチできない。

あとファン活動って児童書作品に登場するほど一般化してるの? 怖すぎる。公式に認知されたくない。

この世界線は、アニメ『きみある』の世界線とは異なる軌道を描き、別の未来へとむかっていくのだろう。

一言一句が好きすぎる。【彼女】の存在が葉山ハルと同化した世界線尊い。それはさみしいことではあるかもしれない、でも悲観するようなことじゃないと思う。

あとがき

ほとんどの場合、主人公は前世の記憶を持ったまま新しい人生を開始するのです。すると主人公にとって両親という存在が、なんと四人になってしまうのです。
前世の人生に残してきてしまった自分の両親。
そして、新しい人生で自分を産んだ両親。

この観点で転生作品を読んだことがなかった。カルチャーショックに近いものがあった。ここまで含めて楽しめたら、物語に深みが出そう。

異世界を舞台に生き抜くことをテーマにした【転生もの】の場合、主人公にとって新しい人生の両親は、親という絶対的な存在としてではなく、家族の一員として、主人公が守るべき対象として、物語に関わってくることが多い印象です。

【転生もの】は、親とこの関係性を、あらためて問いなおす装置なのかもしれませんね。

待ってこの観点を踏まえて、異世界薬局とか本好きの下剋上とか読み直していいですか?
作り手としての注目ポイントまであけすけに語り尽くすなんて、この作者さん、本気すぎる……。


2巻を読んだときも思ったけど、展開も、登場人物の言葉も、途中出てくる医療用語も、犯罪との向き合い方も、あとがきまで含めて、大人が読むからこその魅力が濃縮されてるのよね。残り半分を一気読みしてしまった。大人も本気で楽しめる作品。

3巻くらいで完結だと読みやすいし、これまでのあらすじがあるの記憶喪失人間にはありがたすぎるな。

今検索して知ったんだけど、この作者さん、『失はれる物語』を書いた乙一さんと同一人物で別名義なの!?
面白くないわけがないのだった。

生理で知っておくべきこと

学校教育や病院以外で能動的に生理の情報を仕入れる機会ってなかなかないので、「正常な生理」を定義したこの本は良質だと思う。PMSの症状別の割合とか、加齢とともに日数が短縮されていくとか、ビッグデータが集まらないと分からなかったものな。
昔の自分に、生理痛で午前中動けなかったり、寝具を汚したり、糖質を暴飲暴食したりするのは甘えでも普通でもなくて、ちゃんと治療やセルフケアの方法があるんだよって教えてあげたい。

生理を通じて私たちは自分の健康と向き合い、生活習慣の見直しが定期的にできることになります。

大病以外で軌道修正できるチャンスに恵まれるのは、幸せなことだと考えることもできます。

こういう観点はなかったので勉強になった。毎月起こる流血騒ぎに前向きさを見いだせるとは。つよい。

今の私はどちらかというと疑似更年期症状の予防目的で読んだのだけど、結果的には「VOL2 生理を軽くする方法」の章が一番役に立った。栄養バランス的な意味で。
パワーの供給源であるマグネシウムが不足していたので、アーモンドに挑戦してみたい。
カフェインを摂りすぎないで、紅茶や緑茶は食事後に飲んで、とよく言われる理由もよく分かった。来夏も麦茶を水分の源にしよう。
あと魚の切り身や缶詰、亜鉛がたくさん含まれている牡蠣も食べる機会を増やしたい。あとお肉も! 鉄分!!

たんぱく質が足りなくなるとどういうことが起こると思いますか? まず、髪、爪、肌など、生きていくために必要ないところからボロボロになっていきます。また、たんぱく質とカロリーが少ない食事は、筋肉の老化を加速させます。3ヶ月カロリーをセーブした食事をすると、筋肉は5歳分も老化する(減少する)ことがわかっています。

ちょっと前までの私じゃん。筋肉の老化って見た目には分からないからさ、階段の上り下りだけで疲弊するとか、ちょっとした段差で転びやすいとか、そういうところまで悪化しないと自覚できないのよ……。

(前略)骨は主にたんぱく質でできています。栄養が足りず骨の老化が進めば、頭蓋骨の骨密度低下により目のくぼみやたるみになり、見た目に老けた印象を与えます。

目の下はたるんでるし、口のまわりが黒ずんで見た目年齢+50歳になってる。助けてくれ。

現代の女性の1日の摂取カロリーはなんと、終戦直後を下回っています。

なん…だと……。

気をつけるべきは、この「栄養がほとんど入っていないカロリー」。スナック菓子、スイーツ、お酒などで、私たちは「エンプティカロリー」と呼んでいます。「空のカロリー」という意味で、栄養がなくてカロリーだけがあります。

お酒は一切飲まない(服薬の関係で飲めない)けど、スナック菓子とスイーツについては耳が痛いですねー。

「エンプティカロリー」を避けて、栄養が詰まったカロリーをとるなら、カロリーの量はあまり気にしなくて大丈夫です。女性は1日1800~2000kcalを食べるのが理想なので、生理の悩みがない人も、もっとたくさん食べたほうがいいぐらいです。

私の普段の摂取カロリー+300~500kcalもある……。分かっている、朝ごはんの量がしょぼすぎるんだってことは。
からしっかりたんぱく質を食べると冷えを予防できるってこの本で知って、最近ちょっと増やしてるの。2.5gくらい。
低血圧で朝は激弱いけど、幸い朝ごはんを一口も食べられないってわけじゃないので、ゆで卵の提案はありがたかった。あれなら直前に調理不要で、まとめて作っておけるし。

足浴なら部屋でできますし、簡単です。また、早い時間にお風呂に入ってしまって寒くて寝つけないときや、時間がある休日の朝なども体温を上げるので、効果抜群です。

足浴なら挑戦の余地がありそう。あいにく全身浴や半身浴だと秒でのぼせてしまうカスレベルの血圧なので……。
気圧変動で筋肉が逃走してる夕方とかに挑戦したら、楽になれるのかな。