読書記録

読んだ本の感想まとめ。

スーパーカブ

私はスーパーカブの知識はほとんどないし、バイク好きでもなんでもない。
でも主人公がカブをきっかけに世界の解像度を高め、礼子との友情を深めていく過程を読むのが好き。
小熊は礼子を「居ても居なくてもいい」と評しているのに対し、礼子は小熊の意志の強さを見習って富士山登頂を決意したのだから、2人のお互いへの気持ちにはれっきとした差がありそう。そこがいい。感情の偏りはそれだけで物語を生む。
このシリーズはきっとバイク好きの方が正確な解像度で読めるのだろうけど、私は友情の物語として楽しみたいと思っている。
アニメもちょっと見たけど、小説の方が断然主人公の感情の機微が伝わってくるね。

  • 夏休みの輸送バイト:1往復2,000円×1日2往復×およそ30日? って考えると、高校生のバイトとしては破格。羨ましい。
  • 礼子の富士山登頂:愛車をズタボロにしてまで頂きを目指す彼女の気持ちが、正直分からない。自由を制限するものを越えたいなら、目標として定めるものが富士山である必然性は低いのでは。もしこの挑戦が愛車を降りるきっかけに結果的になっているなら、これはカブへの虐待行為ではないか……。
  • 修学旅行:パンクで困っていた少年の御礼を断った小熊に、バイク乗りとしてのプライドを感じた。奨学金とバイト代から工面してなんとか乗り回しているカブだけれど、金がないからって遊びで乗っているわけではないんだなあ。少年の足を蹴ったのはやりすぎだったと思うけど。