読書記録

読んだ本の感想まとめ。

空中ブランコ

空中ブランコ (文春文庫)

空中ブランコ (文春文庫)

「女流作家」が断トツで面白い。フリーの編集者が語る、動員億単位のアニメ映画の裏側に心を抉られた。数年前に大爆発を起こした某推理アニメ映画が頭に浮かんでしまった自分が嫌だ。でもあの作品は、今や配給会社にとっても出版社にとっても金の延べ棒より価値のある宝だろう。

映画に限らず小説家も漫画家もイラストレーターも、良作を生み出す力を持っているのに埋もれていくクリエイターがこの国ではどれほどいるんだろう。大衆の目と儲け重視の企業体質って残酷だ。それを誰もが認識しているのに、誰もが変えられないのだ。

誰が降らせた雨か、すぐにわかった。

という文にセンスが迸りすぎていて、感受性をぶん殴られた気分。

愛子はなんだかんだ、半世紀後も伊良部にぎゃいぎゃい言いながら小説を書いている気がする。そしてマユミさんはきっと、半世紀後も貴女の読者だよ。