読書記録

読んだ本の感想まとめ。

その本は

大人向けの絵本とも、一作の小説とも、掌編集とも解釈できる不思議な本。
ヨシタケシンスケさんにしか出せない味わい深さがあると思う。
「その本は」それぞれにタイトルが与えられているわけではないので、すべての本の感想を綴るのは至難の業なのが難点か(笑)
私は電子書籍で買ったけど、絶対に紙で買った方が価値があると思う。
あとエピローグのオチが秀逸。

彼のメッセージ

どんな人も、自分自身を救うことはできない。
できるのは、自分以外の誰かを救うことだけなのだ。
だからこそ、誰かを救う努力をしなければいけないのだ。
他の誰かに、自分を救ってもらうために。

めちゃくちゃ異議がある。
少なくとも乳がんを患ってからの私は、自分の手で生み出した物語にたくさん救われているし、仕事でだって過去の自分の選択に何度も救われてきた。
自分自身を救うことはいくらだってできる。できないと捉えているからできないだけでは?

それから、最終的に自分が助けてもらうために誰かを救う気にはなれない。
誰かを助けたことが、めぐりめぐって結果的に自分を救うことはあるかもしれない。
でも最終的に自分が助けてもらうことを目的として賢く立ち回るなんて私には無理だし、私の言動や行動が誰かを救っているのだとしたら、それはその人がそう捉えてくれただけであって、私は基本的に自己肯定感を高めるためにしか何かを実行しない人間だ。利己的なんだよ。
誰かを救うために努力をするなんて土台無理な話よ、周りの人には申し訳ないけれど。

私は奇跡的に彼のメッセージをうけとることができた。そのことはつまり、誰かへの想いを載せたまま「届かなかった」本たちが、世界には星の数ほどある、ということでもあるのだ。

想像すると私に迫っている最期なんかより遥かに辛いが、世界中で当たり前に起こっている……。一冊でも多く届け。

竹内春

比較的ミステリーを読み慣れている私の脳裏に真っ先に浮かんだ「校長先生の話」は、竹内春の訃報だった。
「鬼」こと酒浸りな内縁の夫?の暴力が激化して殺人に発展したのだと思った。
竹内春と母親が再び夜逃げしたのだとしたら、先生たちが多感な時期の子供たちに真実を伝える必要はない。

エピローグ

オチが秀逸すぎる。
即絞首刑とかじゃなく、裁判で罪の重さを決めようという制度がある時点で、かなり民主的だと思う。
2人の男は1年間で、作家が患いがちな職業病にかかったっぽい。
私も2人の本を読んでみたいなあ。あっこの本か。