読書記録

読んだ本の感想まとめ。

魔女の旅々

同じラノベでファンタジー、一人旅ものならキノの旅が浮かぶ。
あっちの方が辛口で風刺が効いてる印象というか、こっちの方がマイルドだなと冒頭では思っていた。
でも、登場人物が増えるたびにろくでもないことをやるから、これはこれで塩味が効いている。

魔法使いの国

本当に本気で何かを成し遂げるとき、人はいつだって孤独です。一人じゃなければ駄目なんですよ。慣れ合ったら終わりなんです

逆に言えば、慣れ合う人間は人生で何も成し遂げられないということになる。
まあ、それが真理なのかもしれない。
でも、じゃあ、歴史的な快挙を成し遂げて偉人になった兄弟や夫婦は孤独だったのか? という疑問が残る。
ヒロインが定義する孤独とはいったいなんなのだろう。

瓶詰めの幸せ

ニノちゃんは外の世界の幸せに焦がれ村を出ようとして、村長の暴力を受け怪我を負うとか、運悪く頭から転んで命を散らすとか……?
エミルの人格を歪めそうだから、私も2人の結末は知りたくない。

魔女見習いイレイナ

最初の一ヶ月は、ブラック企業の風刺に割かれていた。

自分の若さと実力をよく分かっているからこそ、あなたは多少の理不尽には耐えてしまえる

まあゴミ人間の私には微塵も当てはまらないが、こういう人たちがいなくなったら、世の中からブラック企業は一層されてほしい。

風魔法のシーンが第1作と繋がっているとは。こういう仕掛け好き。こうして師弟関係は連鎖していくのね。

星屑の魔女(ある国の偉い魔女)と、灰の魔女の実力は互角なのだろうか?
魔女見習いや魔女の中でもABCとかでランク分けをしてほしいところだね。少なくとも、イレイナの故郷に住む魔女と灰の魔女を同じ「魔女」で済ませていいとは思えないよ。

緩やかに歩み寄る穏やかな死

がん患者としては他人事じゃない話だった。
例え技術的に可能だったとしても、魔法で人の生死を司るのは禁忌なのでは?

同じ殺人を願うなら、自分が殺されることより、恋人に「俺と一緒に死んでくれ」って強要する病んだ男の方が好き。
アベルの恋人の幸せを願う気持ちは尊いけれど、行儀が良すぎるよ。
自分の死が目前に迫っているときって、人ってもっと自分本位になるもんじゃないのかね。

やっぱり彼は、村人に毒を盛られたのだろうか。

民なき国の王女

今までの話で一番残酷で救いがない。でも、一番好きかもしれない。絶望が色濃い話が好きだ。
記憶を失っている王女と取り戻した彼女の笑顔の色が180度違うことも、彼女が一瞬で化け物を八つ裂きにしたことも好きだが、何よりこの復讐が計画的で、王女の絶望(記憶)を王に植え付けた無慈悲さが好き。一番苦しむやり方で殺したと思う。

本当に人でなしなことを言うと、王は殺されてよかった。
殺人は許されないけど、生きていては社会の害悪になる人間は存在すると思う。

王立セレステリア

『魔女見習いイレイナ』を最後に持ってくる方が奥行きが出ると思ったんだけど、なるほどね。
連作短編集のつもりで読んでいて、後半の話が前半の話に思いがけずリンクしてくるとニヤリとする。
フラン先生とイレイナ母の過去が気になる。続刊で明かされるのだろうか。